呪いの魔剣と斬首姫
第21話 ククク……力を捧げよ……
「ククク……我も欲しい……」
「え……? どういうこと……?」
「ククク……我が名は魔剣アスモスフィア……力が欲しくば、我に力を捧げよ……」
「ああ、供物的な意味か。びっくりした」
鎖で巻かれた魔剣が言った言葉の意味を理解し、クラムはほっと安どの息をつく。
アリサはというと、そんなことは気にせず目を輝かせながら魔剣に話しかけている。
「魔剣さん魔剣さん、力を捧げるって具体的には何を捧げればいいんですか?」
「ククク……呪いや穢れが籠った物だ……」
「ここに転がっている武具とかですか?」
「ククク……そうだ。だが、それらはすでに我に捧げられた物。対価としての力も既にグレッグと名乗る男に渡している……」
「な、お前があいつに力を渡したのか!?」
「ククク……その様子だと、そのグレッグという男と対峙したようだな。だが、奴に渡した力はほんの一端にすぎん。さらなる力を求めるのなら、より多くの穢れを持ってこい……!」
強い覇気のこもった声が洞窟をこだまする。クラムはその圧に気おされている様子だったが、アリサは全く別のことを考えている顔をしている。
「私、魔剣さんを使いたいんですけど、どうすればいいですか?」
「クハハ……! 我を使役したいと申すか……!」
アリサの申し出を聞くと、魔剣は楽しそうに笑う。
アリサが魔剣を欲していた一番の理由は”使いたい”だろうし、当然の質問だな。
だが、魔剣か……こんな武器がこの世界に存在していたとはな。達人に精錬された道具には稀にスキルを宿す物もあるが、他者にスキルを与える剣なんて1000年前には無かったぞ。
「クク……我は今この鎖の呪いにより封印されている身。もし使いたいなどというのなら、この封印を解くことだな……」
「呪いを解けば力を貸してくれるんですね?!」
「ククク……約束しよう……」
「やったーーーーーー!!!」
アリサのやつ露骨にテンションが上がってやがる。それを見てクラムは若干引いた表情をしている。アリサの性質をあまり知らないクラムも、そろそろこいつの本質に気づくころだろう。
「呪いの鎖……アリサ、お前の聖剣でその鎖を断ち切れないのか?」
「うーん……鎖自体は切れると思うのですが、根本にある呪いまでは切れないと思います。それを無理に破壊すれば、魔剣さんにも影響が出るかと」
「影響?」
「えーっと、建物に入るために壁を壊したら、建物全体が倒壊するかもしれない……みたいなことです」
「ククク……無理やりはやめてくれよ……」
「となると、解呪する必要があるが……お前ってシスターなんだから解呪とかできないのか?」
「聖遺物や結界があればできるんですが、この場所ではさすがに無理ですね。呪いの強さも見た感じかなり強いですし、もっと穢れの少ない場所に行かないと」
「ククク……その通りだ……」
そうなのか。今までだいたいのことやってのけてたから解呪くらい簡単にやるのかと思った。
穢れの少ない場所と聞いてクラムは立ち上がる。どこか当てがあるのだろうか。
「じゃあ街に行くか。そこになら教会もあるし、解呪出来るだろ」
「街、ですか」
「ここから一番近い街、独立国家トロイア。人と魔人が混在する唯一の国だ」
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