気まぐれ読書録

ヨムセン

第1話 読むだけのつもりだったけれど…

 なろうやカクヨムで読むだけの人間であるが、誤字報告などを経由して少しでも作者に還元できればと思いアカウントを作ってみた。

 なろうとは小説家になろうというWEB小説媒体であり、様々な小説が日々掲載されているが、昨今あまりにも女性的な暗黒面や独特の幼稚さを示す作品が散見してきたため(むろん時間経過の選別により研磨され素晴らしい作品がこれからも出てくるだろう!)、見る媒体を変えてみようとカクヨム小説も読み始めた。


 4月ごろから読み始め、ゴールデンウィークで一気に読み進めたとはいえ、いかんせん読んだ作品は少なく、カクヨムでは探し方も不慣れなため読んでいる作品に大いに偏りがあるのは否めない。

 どこまで続くかわからないし、この1話で終わりになるかもしれない気まぐれな読書録になるだろうが、ここまで見に来た奇矯な縁あれば、感想覧などにお勧めの作品や未完品があれば、私の読書の一助になるかもしれない。

 私が読書中の作品と一致すれば、筆の進みは早く、

 仮にすでに私が読んだことある作品でも再読すればここで取り上げることもあるかもしれない。


 さて、既に違和感を感じた方もおられるかもしれないが、私は作品と未完成品を大きく分けている。作品とは疑問に答えてピリオドを打ったものだ。長さは関係ない。

 俳句でも5-7-5で完結していれば作品であるし、いくら長期で壮大で素晴らしい風景を描写した心震わす名著でも未完成なら作品ではない。

 作品なら素晴らしいとは限らないが、一度完成に持っていった作者には敬意を表したい。

 だが、創作物とは作家のライフワークにしてどこが区切りかわからないものが多々散見する。故に定義も更に詰めていきたい。

まず作品としての最初のテーマ・最初の謎が完成しているものだ。一番最初の事件や問題について綺麗に収めていればそれはそこでひとまず完成である。人気に推されて続編を書くかもしれないが、それは文字通り、新たな編である。それがなくても作品を作品たらしめる要素が成立していればそれは作品である。逆に幾ら某編完結と銘打っていても作品から想起させられるテーマが完成してなければ未完成である。

 唯一例外がある作品とすれば、商業作家が出版社による打ち切りという名の断頭台にかけられたときであろう。作家の慚愧の念と共に強制的にピリオドを打たされたものは未完成であれど作品である。

 しかし商業作にあるまじきことであり、昨今(特にラノトノベル)であまりにも多いのが、沈黙である。新作は大々的に報じるくせに、次回作については沈黙。本来より大変であるはずの漫画の方が急展開であろうときちんと作品にもっていくのが多いのに対して、出版社の怠慢なのか、何かの拍子に流行った時には続編を出してやれとの色気なのか無言の放置である。

 お金を払って、書籍を買ったにもかかわらず本棚の空欄の寂しさよ。

言語道断である。これは作品に非ず。商業誌にて打ち切り告知すらしないのであれば、作家の咎に非ず。編集者・出版社の読者への重大な契約違反であり、裏切りである。”作品”を世に送り出すという使命をほっぽり出して、大量に未完成粗品を乱造するのであれば、その分野で楽しむ読者を冷めさせ読むという行為を衰退方向に突き落とすのと同義である。


 さてここらから考えられる点として主人公の成長テーマやタイトルで説明してしまった作品は豪く完結へのハードルが高くなってしまう。

 何故なら成長というあいまいなテーマにしてしまえばどこがに終了ポイントにするのが難しくなる。主人公の老後迄やるのか?主人公の子がこれから成長するさまを示唆して終了なのか?ひどく難しい。

 逆に明示的にタイトルで全て説明してしまうと、そのあとどうするのか?という問題に直面する。タイトルで説明した部分まで紹介すれば作品になるというとそれは少々様相が異なる。なぜならそれならタイトルだけで中身不要だからである。

 タイトルが『リンゴが赤い件』、内容が『リンゴが真っ赤でした。』

 これでは何の疑問にも答えてない。ただのイコールである。

 タイトルで示した状態をイントロダクションにして、そのうえで登場人物は、世界はどうなるか、作者は何を伝えたいのか?タイトルに対して何をアンサーで提示するのか?きわめて作者の技量が求められる。

 そして大前提としては最高の内容にしてすべて完成している作品が最も素晴らしい!

 予想を裏切り、期待を超え、智慧や洞察の欠片を齎し、驚きを与える。タイトルに対して何かを答える。そんな著作・作品を読者待っている!

 時代や個々人の状況、その時の気持ち、読む回数で大いに感想は変わる。しかし一番最後のQ&A。タイトルと完結。作品に成るのは一抹の寂しさも感じつつも読者なら待ち望んでやまず。 大切な基準なのだ。

 

さて。一読者としてつらつらと書き連ねてきたが、私は書物は読むが、他者の感想欄は特に見なかった。書物と読書。それだけで作者との対話は十分であると考えているからだ。

 だが、技術の進歩とはすばらしく、古代では非常に難易度が高かった作者との対話が現代では非常に簡易に行われるようになった。最初から当たり前のようにある環境であるが故に、革新的なことではないかと思う。

 些細なUI<ユーザーインターフェース>の違いであろうが、なろうでは感想欄と小説本編が分けられているのに対し、カクヨムでは一つのページで地続きにつながっている。

 どちらが優れているということを言及したいわけではない。媒体のUIが齎す読書体験への変化である。


 なろうでは小説読み。時折、誤字報告をしてそこで一旦終わりである。

 他方カクヨムでは他者の感想も目につきやすい。

 だからだろうか。カクヨムでは感情の起伏が安易に極端に振れやすい人々が散見され、あまつさえ、それが作品の味にも変化を与えている。

 感想を読んだ結果それまで読んだ作品の印象を変えることもあるし、そこにいる作者の反応が作品に影響を及ぼすこともある。

 感想に与える影響の強さとしては圧倒的に後者であるが。

 そして完成された作品ではなく、リアルタイムで作品として編み込まれる過程を見てるいるとより顕著になる。


 是非を問いたいわけではない。これはこういう媒体の持ち味なのだ。私が苦言を呈するとしたら商業誌で作品を宙ぶらりんで放置して腐らせる編集者と出版社ぐらいである。



 カクヨムでは読むだけのつもりだったけれど、地続きの感想欄を経由して能動的な読書が可能になったのである。


 ここに至り、それぞれの関係を整理することでスムーズに考えられるようになる。大したことではない、ごく当たり前のことだからこそ大事だと考える。


 作品・連載品は作者のものだ。作者の自由である。

 読者は読者である。いつ読むか、どこまで読むかは自由であり、感想も自由である。

 感想は読んだ読者が書いたものだ。概ね何を書いても自由である。


 そう概ねである。読んだ結果、何を感じ、何を得て、何を思い。その感動に心を震わせるのは自由であるが、それを書いて出力すれば別の属性にシフトするのだ。

 余人の感想はともかく、自分の感想には一定のルールを定めることにした。

 わざわざ定めずとも実践していることであるが、大事である。

 作者の感想欄に書き込む事は、作者の手助けを本意とする。


 誤字・脱字の報告や作品内別の話との矛盾、タイトルやテーマとの乖離。

 一番最初なら手軽であるが、作品によっては幻術やトリックで誤認を誘導したり、タイトルとの落差でショックを与えることを目的としていることもあるので難しい。

が、余程日本語との乖離がなければ指摘することもないだろうし、作者が意図してることであれば、むしろシメシメ上手く引き込んでやったとぞ微笑むか、無視をするかであろう。

 そして私は未完成のものを読むときは非常にラフに読むため些細な矛盾などは気づきもしないだろう!

あまりにも異常なもの例えば

 言葉がテーマ・重要な連載に対して作中で使われる言葉の意味が真逆であれば流石にご注進に及ぶかもしれないが、極々稀なことである。

 自分が言わずとも誰かが指摘すれば修正するだろうが、リンゲルマン効果とは恐ろしいもので、気づいていても言わないうちに連載品がそれを話の核として進めてしまうと時間がたつほど修正が困難になってしまう。

 そして私が読み違いをしていてしまった場合は気楽である。誰かが私の勘違いを指摘してよりその作品を楽しめるか、作者の手のひらで叙述トリックに踊らされ、作者に愉悦を与えるか誰も損をしないのだ!

最も、心無い誰かがキツイ暴言を飛ばせば哀しくなるかもしれないが。


では、作品を読んでどう感じたか?何を得たか、何を感じたか、何を思ったか。

それは作者の手助けになるだろうか?なる場合もあるし、ならない場合もある。

作者本人の目に届かせる必要があるだろうか?作品を書いている連載品の議論を見た結果、逆効果になるかもしれない懸念がある。


 だから私は作品・連載品の感想欄には書かないことにした。

 どこに書くか?ここに書くのである。

 いつ読むかも、何を読むかもどこまで読むかも、いつ感想が出るかもわからない。同じ連載品を読んで何か感じた読者が来るかもしれないし、来ないかもしれない。

 誰かが感動を分かち合おうとおすすめを教えてくれるかもしれないし、

 何を与えられるかも、何を求められるかもわからない。

そんな気まぐれで、続編が出るかもわからない。


 ひとまずは、小説に対する私の考え方を示しただけの

 内なる需要も外なる供給がなければ、この話はここでおしまいな


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