あの夏へ告げる 二十首連作部門
月見トモ
あの夏へ告げる
果てしなく 続く恋歌は 君の為
今年も来たる 夏の亡霊
物心 ついた時から「僕が鬼」
隠れ上手な 君に踊らされ
十五歳 弾む心を ひた隠し
陽射しが暴く 恋煩いよ
夏季講習 サボりは禁止 忠告を
破り向かうは 君がいる場所
屋上で 光る三角 アルタイル
デネブベガより 君の横顔
熱帯夜 赤子や蝉の 泣き声の
音楽に乗り 走る
夏祭り 誘われ見惚れ 結った髪
狙えぬ的は あぁ、彼氏枠
打ち上がる 花火の音色 響かせる
先に散るのは 僕らの明日
「また行こう」 君の言葉に 固まって
「あぁ」と不器用 思春少年
風鈴の 音に澄まして 後悔の
気分晴らすは
滴る汗すら 干上がるまで
炎天の 下で光るは 黒石に
刻まれる字と 夏の面影
夏雲の 流れは早く
写真の君に 想いの自白
窓の外 ふと珍しく 蛍火が
飛んで重ねる 君の幽霊
逢いたいと 泣きじゃくる夜 幾度あり
朝曇が連れる 立秋の気配
愛してる 言えば良かった 後悔は
積もり積もって 灰にはならぬ
もう平気 嘘や冗談 作り笑い
暮れる夕日が 大人にしてく
それからの 日々は薄々 忘却し
されど残るは 夏の体温
隠れんぼ もう終わりだよ 愛し人
さぁ出ておいで 「もういいかい」
溶かされた 僕らは今も 夏の中
手を取り歩く 次の季節へ
あの夏へ告げる 二十首連作部門 月見トモ @to_mo_00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あの夏へ告げる 二十首連作部門の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます