第五話 狐の話でも、どないです?
地べたに
けど そ
プルプルしとった前足に〈んっ!〉と力 入れて 体 起こして、〈ポフッ〉と横向きでソファーに着地。
そ
行儀よう
──そんなんキャワワやん! キャワワ過ぎるやん!
なんやろか、この狐。ウチの心臓 止める気ぃなんか? 伏見からの暗殺者やろか?
──・・・また水 飲まんかな? さっきの動き、スマホで撮影したかったわ。
「ご、ご馳走さまでした」
「なんなん!? もうエェの? まだ喉 渇いてんとちゃう?」
──もっと! もっと飲んでぇや! キャワワな姿、また見せてぇや! 動画で保存させてぇな!
我慢 出来んウチの右手は、ズボンの後ろ
「いえ、もう大丈夫です」
「え、けど・・・」
「もうエェわ! 話 させんかい!」
食い下がるウチを
「そんで?
「はい。実はですね・・・」
ウチはスマホを取り出して、被写体に向けた。その瞬間、狐は驚いて口を
カシャッ!
ウチのスマホの画面には、目ぇも口もイッパイに開けとる狐の姿が。タレ目やないけど、こ
けど そ
ゴンッ!
「
「それはこっちのセリフじゃ! なにしとんねん!」
「写真くらいエェやんか! なんや、この狐は人気アイドルなんか? 写真撮影禁止なんか? 著作権に引っ掛かんのんか?」
「そんなモン知るか! とにかく仕事中に遊ぶな! ちゃんと話 聞かんかい!」
そ
えと、狐の話を要約すると・・・
《最近 夜中に伏見稲荷大社の敷地内に人の霊が現れて、毎夜 やかま
・・・っ
ウチは、キャワワな狐に心 奪われてニヤついとった顔を必死に引き締めて、眉間にシワ 寄せて深刻そうな表情 作る。
「・・・それは厄介やね」
「はい。ほとほと困っております」
「けど、夜 寝れへんのやったら、昼 寝たらエェやん」
「それは出来ません。昼はもっと うるさいですから」
「昼にも霊が出るんか?」
「いえ、出ません。しかし昼には観光客が大勢 来ます」
──あ~、そやな。メチャメチャ行くわなぁ、伏見稲荷やもんなぁ。そりゃ寝れんわな。
「で? 霊は何体くらい
「ハッキリとは分かりませんが、30体は居ると思います。それらが夜中の間、ひっきりなしに来るのです」
「30体!? なんで
──いやいや。
「あんなぁ、
「ん、そりゃまぁ、そぉか・・・」
──そやそや。
「え!? 出来れば、その・・・ 調査まで して頂けると助かるのですが・・・。本家の方々は、苦手でして・・・」
「ウチ、分家やないけど?」
「あ! これは申し訳 有りません! 失礼な言い方を!」
「まぁ、エェけど。せやけどな、さっき 言うた通り、ウチらでは人手が足らんからムリやわ。とりあえずの解決はしたるけど、調査はあっちに頼んでぇな」
「分かりました、お館さまに伝えておきます。それで・・・ 解決は いつ頃に?」
〈お館さま〉言うんは、伏見稲荷大社の総大将の事。九つの
あ、そや。総大将 言うても、ご祭神の事や有らへんからね。狐の総大将の事やからね。
「まぁ、今晩にも出来るけど?」
「本当ですか!? それは是非!」
「はい、分かったわ。ほな、報酬 決めよか?」
「は、はい・・・」
「日中は観光客で ごった返しとるから、作業は夜中にしか
「えぇっ!? ご、50万!?」
また目ぇ見開いて、口も
「せや。50万やわ」
「それは、いくらなんでも・・・ 高すぎるのでは?」
「え~~~? 天下の伏見稲荷大社が、なに ケチくさい事 言うてんの? 〈稲荷は日本全国に3万以上の社 有る〉っ
困っとるんは伏見の方。やから立場はウチが上。せやけどウチは地べたに正座で、狐はソファーの上。けど目線の高さはウチが ちょい上。なんや これ? どっちの立場が上なんか、よう分からんなぁ。
「いや、賽銭は人間の物で、我々の物ではないので・・・」
「いやいや。アンタら 狐が
「いや、しかし・・・」
「
「方法が変わる、とは?」
「駆除やったら50万。アンタらの睡眠 保証するだけ やったら20万。そういう事やわ」
「えっと・・・ 具体的には どういう事ですか?」
「結界 張って、霊が寄り付かんように すんねん」
「それは、永続的にですか?」
「
「1年間だけで20万ですか!? それは、割り高 なのでは?」
「そやろか? 駆除しても、また新しい霊が寄ってきたら どないすんの? また駆除せなアカンよ? けど、結界やったら1年間は寄って
「ん~・・・ とりあえず、そのお話を持ち帰らせて頂いて宜しいですか?」
「うん、エェよ」
「では、失礼 致します」
「は~い、ほなな~」
ウチはキレイな右手をフリフリして、
あれ? 今回は
グルメを紹介するだけや
ほな、また次回。
緒晴 梵 の 京都 徒然日記。 @JULIA_JULIA
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