「アイドルの席を特等席で」

春も終わり、梅雨に入り初め、夏の暑さを感じられる様になったある日、何やら山にでも行くのかというような荷造りをしている男子高校生がいる。それが、田中陽季。今日は彼が推しているアイドルグループ、OASISのドームライブがある日なのだ。本来なら彼はライブチケットの抽選に落っているのでライブには行けなかったのだが、なんせ今回のライブのスポンサーがあの星川ホールディングスであり、陽季の彼女だったのだ。そのため、スポンサー特権で特別に入場できるのだ。




「ライブ♪ライブ♪るんるん♫」




と、彼は凄く幸せそうだ。




そんなことで、陽季はまだ深夜の時間から準備をしていた。彼が住んでいる地域は関西よりなので、東京のドームに行くには、飛行機で行く必要があるんだが、家のおじいは研究者ということもあって、燃料の消費は激しいが2時間で東京まで行ける乗り物を作ってくれた。なら何故早く準備をしているのか?それは、ライブ開始は午後2時からだが、グッズ発売は7時から始まる。OASISは人気すぎるので早く並んでいないとグッズが買えなくなってしまう。そして今日、グッズに彼が推しているメンバー、メイちゃんのサイン入りTシャツが発売される、着数は10枚で、真ん中にOASISのロゴが書かれており、その下にサインが書かれている、なので誰もが欲しているものだった。熱狂的なファンは、何としても手に入れたい人もいて、深夜から並ぶ人もいる。転売で5000万ほどしても買う人がいるくらいだ。なので早めに行きたかった。


陽季がペンライトなり、うちわなり、応援グッズを一通り詰め終わった時刻は、2時くらい。今から向かっても間に合うか。そんな事考えているうちに、誰かに取られてしまう。陽季が準備を終えたことをおじいに伝えると、おじいは何やら重機のエンジンを掛け、家を出る準備に出る。


俺はそんな乗り物に乗り、安全ベルトに乗ると、おじいは「忘れ物はないか」というので、俺は大丈夫と言うと、その乗り物は、音を立てる事なく、上空に飛び去った。




「それにしても、今回のライブ、行けて良かったな。でもまさか、俺の推しが彼女になるなんて。」




そんなことを考えているうちに、眠りについてしまった。




陽季が目覚めたとき、すでに日は姿を表していた。時刻は5時、もう東京についているので、今からでもまだ十分間に合う時間だろう。


陽季がドームの近くで乗り物から降り、純一にお礼を言うと、純一は、「気をつけていけよ。」と笑顔で見送ってくれた。陽季は、自分のおじが、こんなにもいい人だと、改めて実感したのだった。




陽季がドームについたとき、すでに40人ほどが並んでいた。自分も今から並ぶが、買えるかどうかは運なのだ。なぜなら、OASISは6人組グループで、それぞれ10枚のTシャツを売るので、60枚売られることになる。なので前にいる40人が、メイちゃんのTシャツを買わなければ、陽季も買えることになる。なので買えることを祈るしか無い。


そんなことを考えているときに、何者かから「あ、貴方はたなっちじゃん!?」と声をかけられた。振り向くと、後ろで並んでいたのはおなじOASISを推しているネッ友の日道タケル(ひのみちたける)、ネットの名はたけるんだ。ちなみに俺はさっき呼ばれたたなっちである。


たけるんとは、OASISがデビューしてからずっと互いに連絡を取っているヲタク仲間で、今日のライブも抽選に受かって来ているのだ。




「てか、たなっち、抽選落ちましたよね?何故ここにいるんですか?チケット持ってないとドーム会場には入れないので、グッズも買えませんよね?あ、もしかして転売で買ったんですか?」




確かに、自分は愛菜に特別席で用意してもらったので、抽選に落ちたことの言い訳がなかった。なので適当に転売で買ったということにしとくと、彼はお金持ちはすごいですなと言わんばかりに俺を見つめてくる。


その視線を明後日の方向に追いやると、たけるんは話を続ける。




「で、朝早くからここに並んでるということは、やはりメイちゃんのTシャツが本命ですかな?」




「まあな、そういうお前はアイリーちゃんだろ?」




アイリーちゃんとは、OASISのツンデレ担当だ。オレンジ色の髪にツインテール。お決まりのテンプレート「別にあんたなんかすきじゃないんだからね」でファンを魅了し、時には辛辣な事をいうことで、ファンから絶大な人気を誇っていた。特に彼女は歌が特化していて、彼女がカバーする曲は、あのソロ曲「再生」で倍ブレイクしたメイちゃんよりも再生回数が多く、ファンからは、OASISの歌姫と呼ばれている。ただし、俺はメイちゃんのほうがいいと思う。(一ファンの感想です)


そんなことを話しているうちに、自分の番が回ってきたようだ。幸い、残り一つ残っていて、無事買うことが出来た。すると、何か後ろから呪うぞと言わんばかりの殺気を感じたので、恐る恐る振り返ってみると、そこには絶望に入り浸ってるたけるんがいた。どうやらアイリーのTシャツが売り切れていたようだ。まあ、おつかれ。頑張ってオークションで5000万で買ってね!でもアイリーのだったら3000万くらいで買えるから...まあ頑張りな!




そんなことで無事たけるんと分かれ、適当に暇をつぶし、ついにライブ開始時間になった。が、


なにこれ.....。なんと自分の座る席が、何故かキラキラ光っていて、まるで王様が座るような席。飛行機で言ったらファーストクラスの2乗。ココはアリーナ席のど真ん中。驚いたのは自分だけでなく、周りも驚いていたようだ。そして、席の上には、これでもかと星川ホールディンクスがスポンサーだと見せつけている。周りは、「なに?あの人おえらいさん?」や「星川ホールディンクスの次期社長だったりして」とか。


また「愛菜様の許嫁だったりして!?」という人も。そんなことを聞いて陽季は自然と顔が赤くなっていた。


そんなこんなで、ついにライブが始まった。


会場内は、満席で、今は静かさを保っている。が、それはすぐに辺りは感動と喜びの叫びで包まれる。


OASISのライブが、今始まった。


OASISの最新曲「Dream Hearts」をバックに、メンバーがステージに出てくる。まず、曲の歌詞が始まったところでOASIS1の演劇の才能の持ち主、マリナ(マリー)とOASIS 1のエンターテイナーミサキ(ミリア)がステージの脇から姿を現す。あ、ちなみにOASISには、名前の他に、コードネームといういわゆるあだ名というものが存在する。忘れないように。


マリナは、得意の演技で即興でお姫様役をやってみせた。というのもマリナは、今やっているドラマ「君はお姫様」のヒロイン役を演じ、世間からはプリンセスマリーと呼ばれている。なのでファンサービスだろう。そしてマリナが投げキッスをすると、ファンからは熱い支持を受ける。


ミサキは、なんと曲の歌詞を変えていた。ファンからは笑いが溢れ、会場はとても温かい空気だった。


次に、頭脳派担当のラッキー(ライライ)とプロゲーマー アージョ(ウィッチ)が姿を現した。ラッキーがステージで踊るだけで、ファンからは、「ライライダンスだぁ!!」と盛り上がる。また、アージョがステージの真ん中で、つけていたヘッドフォンを首にかけ、アージョがウインクをすると、会場は更に盛り上がりを見せる。しかし、この後、更に会場は燃え上がる。


遂にOASISの卵&センター、ツンデレ担当のアイル(アイリー)と、OASISの天使、ダンスの天才メイ(メイちゃん)の登場だ。


アイルは、いかにもツンデレですよと言わんばかりのツインテールと黄色のワンピース。そしてアイリーコールが止まらないファンに向かって「きーんも♡」とMには助かるサービス。さすがはOASISの卵だった。


そしてメイちゃん。今日はふわふわの白い髪に星とハートのかんざし、そしてライブ専用ふわふわ天使ワンピース、更に今日はうさみみもつけている。会場は、もう尊死が相次いでいた。もうその時に、すでに陽季のライフはゼロだったが、メイが手で銃の形を作り、会場に向かって「ばっきゅ〜ん♡」と愛の弾を打ってくれたので、陽季のライフはマイナスになっていた。


そんなこんなで無事メンバー全員が揃い、いよいよライブの開幕だ!!




後書き


お疲れ様でした〜。今話もいかがでしたでしょうか?まず愚痴を言わせてください。今回少し時間がなかったんです。は?ってなるでしょうが、実は、自分6月30日に小説12話まで一揆公開の予定でした。しかし、あまりにも時間がなく、時間がなかったので、7月末に変更させてもらいました。できる限り完成には力を入れますが、今後も変更の可能性がありますので、そこはご理解いただけると幸いです。それでは次回もお楽しみに〜(2時間後)


余談


アイドルの名前はみんなテキトーです。しかし、これからストーリーには度々登場するかもですので、僕は覚えていなくとも、皆さんは覚えといてください。


余談2


実は小説を投稿できないのは、某新世代オープンワールドRPGのせいです。自分水の国の神様がほしすぎてずっとやっていました。すいません....あ、今回の余談はココまでです。それでは〜

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新たな元素ラブニウムの影響で、彼女がたくさん出来てしまいました。 @AngelLife

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