「お嬢様は意外とずれてる!?」
長谷川命生と付き合って数日。俺は、愛菜にこのことを説明しようと、愛菜の家にやってきた。星川家の家はやっぱり豪邸で、大きな門に大きな庭、庶民では絶対に住めないところだ。俺が星川家のチャイムを鳴らすと、遠い扉の向こうから知らない人がでてきて、こちらに歩いてきた。
「どちら様で...あぁ愛菜様の彼氏の陽季様でしたか。どうぞ、お入りください。」
「ああ、どうも...。」
どうやらこの人は星川家の執事さんなのだろう。彼に付いていくとそこにある大豪邸の中に案内された。玄関からなにやら高そうな物がたくさん置かれている。金を使っているであろう壁や豪華なシャンデリア、居間のふかふかそうなソファー、とても一般人では見れないだろう。そんな彼女の家を、修学旅行の観光気分になって歩いてると、愛菜の部屋まで案内された。
「こちらの部屋は、愛菜お嬢様のお部屋となっています。お嬢様から貴方様のことを良く聴きます。これからもお嬢様をよろしくお願いします。では、私はこれで。」
そういって彼は立ち去っていった。しかし、俺は今から、彼女を怒らせてしまうかもしれない。そんな申し訳無さもあるが、愛菜に隠して付き合っている方がもっと怒らしてしまう。俺は勇気を振り絞り、ドアを叩く。コンコンと音が鳴ると、中から「はい」という声が聞こえた。俺はドアを開け、彼女に説明をする。
「よお、愛菜。いきなりすまないな。」
「は、、陽季君!?どうして??」
「いやあちょっと...話があって...。」
「話なら別にスマホでいいでしょ?」
「いや、このことは、直接言わなきゃだめなんだ。」
いきなり俺が部屋に入ってきて、愛菜は凄く戸惑っている...のも無理はない。一度も家に行ったことがない俺が、なんの連絡もなしに、いきなり家にくるのだ。それも大事な話とか言われたらもっと困惑する。その後、執事がお菓子を持ってきて、少し食べながら雑談をして、本題に入る。
「その、俺達、付き合ってるよな。」
「はい、付き合ってますね。私が貴方が好きと、そう告げました。それがなにか?」
「その.....他の人と...付き合うのは...」
「はい?」
「えっと...ふ..二股してもいいですか?」
俺、話すの下手すぎか??このままじゃまるで俺が愛菜を愛していないみたいじゃないか。
「えっと違うんだ...ちがく無いけど....。」
とっさに俺は訂正しようとするが...
「いいよ。」
「え??えええええええええ。」
愛菜から帰ってきたのは、否定や、拒絶的なものではなく、ただの肯定だった。つまり、愛菜は二股を許してくれたのだ。
「その...許してくれるのは...嬉しいことなんですが、その...もう少し、怒ったり反対したりしないんですか?一応俺は浮気してるんですよ。」
「ええそうね。それが問題でも?もともと私の勝手で貴方と付き合ってるんです。いわば私のわがままです。なのに陽季君の要望は反対するって、自分勝手すぎますわ。」
「愛菜...。別に勝手とかって。俺は愛菜のことを一度も嫌だとも思ってないし、愛菜のお陰で俺はクラスのみんなと馴染めたんだ。だからそんなマイナスに言うのはやめてくれ。」
俺は愛菜のことは大好きだ。だからこそ、俺は愛菜がわがままだとか、そんなことは言ってほしくなかった。
「だから...俺も、愛菜の隣に勝手にいるだけだから。その...今回は俺が悪いんだ、だから怒ってもらってもいい。そして決して愛菜のことを嫌いになったりはしない。だから、これからは、俺にしてほしいことがあったりしたら、遠慮なく言ってほしい。」
俺は真剣な顔で愛菜にそう伝えると、彼女は「ありがとう。」となぜか感謝してきた。でもそんな彼女の笑顔は、いつもにもまして、可愛かった。そんな彼女の顔を見ていると、愛菜は俺がジロジロと見ていることに気づき、「あまりジロジロと見ないでください。」と言いながら、俺の腕に体を預けてくる。俺が彼女にやめてと言っても、「いやです。これは二股のお返しです。」といってはにかんだ笑みを見せてくる。どうやらさっきの話、分かってくれたみたいだ。少しくすぐったい感じもあるが、俺たちは、しばらくこうして落ち着くのだった。
その後、再び二股について俺から話を持ち出した。彼女は長谷川命生で、あのOASISのメンバーだってことも。長谷川さんにはあらかじめアイドルと言うことを愛菜に言っていいと言われていたので口にした。
逆に長谷川さんも良く許してくれたよな。他の女とも付き合ってるの。俺が二股してると打ち明けたら。「まあ、陽季君ったら。ふふふ。」と何故か小馬鹿にされて終わっただけだ。
「そう...長谷川さんが...。そうしたらわたし、勝ち目無いのでは?」
「そんなこと無いよ。愛菜は最高の彼女だよ。」
そういうと愛菜は、の顔を真っ赤にして、ありがとうとだけいった。
「そういえば、OASISって来週ドームでライブじゃなかったっけ?」
「そうなんだよ。で、俺チケット応募したんだけど...外れた...。ああ、今回のライブ、SECONDアルバムに収録されている新曲がライブ初披露なんだよ〜。そして、もちろんメイちゃんのソロ曲『再生』もライブで歌うんだよ。行きたかったなあ。」
そう、大ファンである俺が、彼女のライブを忘れるわけが無い。そして、裏の転売で、チケット一枚。
元値の10倍の値段でも、一瞬で売り切れてしまう。オークションで500万で落札されている事もあった。
「いけるわよ。」
「え?」
「この私を誰だと思ってるの?星川家の娘よ。大体今回のライブのスポンサー、星川ホールディンクスよ。実はお父さん、OASISのファンでね、それでスポンサーになろうって。だから席の問題は心配しなくていいわ。」
まさか、メイちゃんのライブに行けるなんて。ありがとう、愛菜。
「本当にありがとう。お礼してもしきれないよ。」
「ふふ、喜んでくれてよかった。で...見返りと言っては何だけど。」
少しモジモジしながらそう言っていたが、少しずつ彼女の顔が赤らめていきながら、彼女は続ける。
「今度...で..デートをしてほしいなって。」
「そんなことでいいのか?」
「そんな事?私に取っては大切なことだけど。今度長谷川さんと話したいし。」
愛菜がデートを本気で喜んでもらえたのは、本当に嬉しい。
「そんなこと言ってもらえるなんて、俺も楽しいデートにできるように、努力するよ...って、今なんて?」
「え?だから長谷川さんと.....。」
「それって...。」
「ダブルデートよ!」
「えええええええええ。」
その日、俺は二度も叫んでしまった。
後書き
はいお疲れしました。今回もいかがでしたでしょうか?今話で5話になります!だいぶ進んだと思います。今話は文字数は控えめです。(書く暇がなかったってことは内緒ね。)次話は、文字数は多くなると思います。一気にメイ...いや、命生の魅力を伝えますね。それでは次話でお会いしましょう。
余談
実は、この後に出てくる新ヒロインについて、ある程度人物像は出来ています。それが、双子の娘。主人公と、昔あったことある。的な?※この情報は確定ではありません。余儀なく変更する場合があります。あと、ヒロインのイラストも個人で制作中。(絵なんて描けなくて、AIイラストに頼ってることも内緒)
今日の雑談はここまで。またね。
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