第二章アイドルの天使様「長谷川命生」

「ラブニウムは、アイドルにも効果ありなんですね」

愛菜とのデートも終わり、俺達はクラスメイトに改めて、付き合っていることを伝えた。みんな反論するどころか、俺達のデートを深堀りする生徒や、素直に祝ってくれる生徒で賑わっていた。まさかこの俺が、クラスのみんなとワイワイできるなんて。俺はホントに、幸せものだな。しかし、これで何事もなく終わればいいんだけど...。ラブニウムはあと8つ。最低でも後8人の彼女ができる。まあ嬉しいんだけどさ、ハーレム味わえるの。でも、俺が良くても、果たして愛菜が許してくれるだろうか?そんなことも、これから考えなければいけない。


それから、数日がたった、ある日の登校。俺にとって二人目の彼女と出会うこととなる。


「やべー。寝坊した。」


俺は今日、人生で初めて学校に遅刻しそうになった。ゲームをしながら寝落ちをして、スマホの充電が0%になったからだ。そんなことよりも、今すぐに家を出ないと本当に不味い。俺は朝食をも抜いてもうダッシュで学校に向かった。


「急ぐんだ。」


もはや本当に太陽よりも早く走ってるかもしれない。その時、


「きゃっ。」


と声を上げて、誰かが倒れた。どうやら俺とぶつかったらしい。完全に前を見ていない俺のせいだ。とりあえず謝らないと。


「ご、ごめん。いそいでて..」


「こちらこそ。って、その制服、もしかして不ー通ふーつう市立学園の生徒さんですか?」


そう言ってきたのは、可愛らしい女性。見た感じ高校生くらいか?顔立ちは整っているが、なんだか少し、幼さを感じる。それに声も。髪の毛は白く染めていて、そのショートヘアーはふわふわしている。スタイルは胸はないが、服が可愛い。ドレスを着ているみたいだ。


「そうだけど。ああああ、やばい、本当に遅刻しちゃう。ごめん、もう行くね。」


そう言って俺はその場を後にする。


『びっくりした〜。てかあまりにもテンパってたけど、あの娘どこかで...あと可愛かったなぁ。』


そんなことを思いながら、俺は学校へ向かう。幸い、学校には、遅刻せずに済んだ。クラスのみんなはもう席についていて、残りは俺だけの状態だったが、先生がまだいなかったので良かったのだ。俺は席についた後、少し離れたところにいる和也に話しかける。


「あぶなかった〜。先生がいなくて助かったよ。」


「だな。てか何で先生いないんだ?」


たしかにそうだ。いつもこの時間になると、先生はショートホームルームを始めるから、今いないことが不思議だった。なにかあったのだろうか。そう考えてると、教室の扉が開き、先生と誰かが入ってきた。


「え〜、遅くなってすまない。今日は大事なお知らせがある。いわゆる転校生ってやつだ。ほら、こっち。」


そう言われてやってきたのは...え?どこか見覚えのある人。まさか、さっきぶつかった人だ。てか、転校生早すぎじゃね!?まだ2ヶ月だぞ。なんで今?そして今朝のあれって、よくあるラノベとかの展開じゃね。ここから恋に発展するやつ。いいや無い無い。そう自分に言い聞かせて知らないフリをする。しかし、意味はなかったようだ。彼女は俺を見るなり「あ、君はさっきの」といかにもテンプレートのようなことを言うもんだから周りのクラスの奴らはこっちを見て、「おいまじかよ。」「彼女二人目ですか〜。」「可愛いから狙おうと思っていたのにい。」とか言ってくる。大丈夫、付き合ってないよ。


「え〜、彼女は長谷川命生(はせがわめい)。今日からこのクラスのメンバーとして生活していく。みんな仲良くな。」


「よ、よろしくおねがいします。」


命生は少し恥ずかしそうにしていたけど、まあクラスのみんなと、馴染むことはできるだろう。そして、改めて見ると本当に可愛い。


「じゃあ席は、田中の横のところが空いてるな。田中、色々教えてやってくれ。」


「え、はい。」


まさかの俺の隣。まあ、これも何かの縁だろ。彼女は自分の席に着くと、俺だけに「よろしくね。」とはにかんだ笑みを見せながらそういった。


ちなみに、この不ー通市立学園は、基本制服だが、別に自由に服を来たって構わない。忘れないでね。


ホームルームが終わり、休み時間になると、クラス中が長谷川命生を囲った。彼女は、少し戸惑っていたが、クラスのみんなが興味を示しているんだし、ほっとくことにしよう。


「よお。星川さんすっぽかして、新しい女の子と付き合ってるのはどういうことですか?」


そう言ってくるのはやっぱり和也だった。彼は転校生の事よりも、俺のほうが興味あるらしい。


「愛菜をすっぽかした覚えはない、そもそも彼女とは付き合ってもいません。ただ朝登校中にぶつかっただけです。」


「お。星川さんを愛菜と呼ぶようになったか。そうか、お前らもすすんだんだな。」


「別に勝手だろ。俺の彼女何だから。」


「はいそうですか〜何だ、ハーレム関係になるとおもったんだけどなあ。」


そういう彼は少し残念そうにしていたが今はスルーする。


「なんでぶつかっただけで付き合うんだよ。」


「だって、ぶつかってからの恋とかおきまりじゃん。いっけない遅刻遅刻とかいいながらコッペパンを加えながらぶつかるやつ。」


「それはアニメやラブコメです。現実と一緒にしないでください。後、パンはコッペパンじゃなくて食パンだと思うぞ。」


「おお、悪い悪い。パンは食パンね。」


そこじゃねえよと突っ込みたい気持ちは抑えて、俺はため息を着くだけにした。てか俺等、どんな会話してんの。


なんだかんだで放課後。俺は、先生に用事があって居残りしていた。教室からは、野球部がボールを打っている音と、吹奏楽部の練習が混じった独特なメロディーが完成されていた。俺は一通り物事を終わらせ、さっさと変えることに。今日は俺の好きなアイドルのSECONDアルバムの発売日なのだ。え?オタクだって?それはつい最近まで陰キャでしたから。中学に入った頃。俺が友達もろくに作れず、一人ぼっちのときに、落ち着く場となっていたのが、アイドルだった。最初は歌を聞いてるくらいだったが、3年あればオタクになるのに十分な時間だった。今は、今年デビューしたばっかのグループ、OASISを推している。動画配信サイトyotubuヨーチュウブの公式チャンネルで知った。フォロワーは5000万人を超えている人気女子高生グループ。そのグループのSECONDアルバムの発売日が今日なのだ。なんと、今回のアルバムには、あのメイちゃんのソロ曲「再生」も収録されているのだ。ああ、俺の推しはメイちゃん。声が子供のようなのが特徴で、ふわふわな天使のような娘だ。てか天使。それが楽しみすぎる。じゃあ何で居残るのが今日なのかって?それはバイトの許可をもらうためだ。最低限推し活をするのに資金がいる。善は急げで先生に許可をもらってたのだ。


「たのしみだなあ。」


と、ウキウキで廊下を歩いてると、隣の教室から、何やら音が聞こえてくる。この音は、OASISの曲、「娯楽」だ。サビのフレーズがダンスになって人気で、ダウンロード数1億5000万を突破した人気曲。まあ俺以外にもファンはいるしな。そう思っても少し気になる。誰推しなのか。OASISのどこが好きなのかとか。まあ覗くだけなら...と興味本位で覗いてみた。すると、中で踊っていたのは...メイちゃん?え?メイちゃんのライブ衣装、白いふわふわの羽が生えそうなドレス。誰もを魅了するキレッキレのダンス。そしてふわふわなショートの髪。本物だ。俺がとどまっているのを気づいた彼女は、


「あ。田中くん...これはその...」


と恥ずかしそうにいった。


「え?なんでメイちゃんが俺の名前を?」


「ああえっと...」


そういって戸惑っている彼女の顔は、天使そのもので、今すぐ泣き出しそうだ。


「貴方は、本当にメイちゃんなんですよね。OASISの。」


「はい、そうです。」


「で、何で俺の名前を知ってるんですか?」


「実は...私、長谷川命生なんです。」


「へー。そうなんだってえええええええええええ!?」


「はい、すみま..せん//」


まさかの今日ぶつかった相手がアイドルだった!?本当にラノベみてぇじゃねえか。


「その..私、今、来月にやる、ライブの練習をしていたんです。それで、家だとあまり広くなくて、ダンスするところが学校しかなかったので。放課後に。」


「ああ。まじか。ははは。」


俺の精神は崩壊していた。まさか推しがこんな近くにいるなんて。しあわせだ。


「どうかこのことは、内緒にしてくれますか?」


「あたりまえです。他の人にアイドルがいるってバレたら不味いですし。俺も一応、同担拒否なので...その、サイン書いてくれますか?」


ああ。もうこうなった俺は止められない、人気アイドルにサイン何かもらえるわけ無いだろ。そう思っていたが、彼女はすんなりとOKしてくれた。


「いいですよ。でも、その前に、私のどこが好きなのか//教えてくれると...なって...。」


「それは、まず声が幼い感じで可愛い。性格が優しい、顔が丸くて可愛い。髪がショートでふわふわ。天使のような可愛さ。たまにうっかりしちゃうところ。それから...」


「もう...いいです//」


そういう彼女はすごく恥ずかしそうだった。でも、絶対見れないこの顔も、可愛い。


「あの。わたし、嬉しいです。こんなに好きになってくれる人がいてくれて。


「それは、好きになる人はいっぱいいるだろ。アイドルなんだし。」


「そうなんですけど...。その...今まで、本気でファンを見たことなくて。ファンがどう思ってようが、どうでもよかったんです。どうせ本気じゃないんだと、そう思ってたんです。」


今まで恥ずかしがっていた命生だが、次第に真剣な表情に変わっていく。


「でも、あなたに会えて、そんな思いが変わりました。貴方に出会えて良かった。」


天使の笑顔を向けながら、彼女はそういった。


「それは、どうも。」


「なので、ぜひお礼をさせてください。」


「お礼って、すでにサインはもらってるじゃないですか。」


「サインは、好きなポイントを教えてもらったので関係ありません。あの...それとも私のお礼、嫌ですか」


そういう彼女はすごく悲しそうにしている。これはいけない。


「そんな、嫌になるわけ無いですよ。でも俺なんかでいいんですか?」


「いいんです。貴方だから。そもそも朝ぶつかったときに運命を感じていましてから。この人は、かっこよかったなって。」


もしや。これは。まさか、ラブニウムの影響?普通アイドルと知られただけで運命とか言うか?そうだ、ラブニウムが付着されてるか見る方法、おじいが言ってた。確か、目を細めて、相手の瞳を見て少し赤い宝石のようなものが見えると、ラブニウムの影響を受けてるんだっけか?俺が目を細め、彼女の瞳を見ると、その中には、やはり、ルビーよりも輝いてる宝石があった。確定だ。


「あの〜。お礼って、何でもいいですか?」


「はい。なんでも。」


「じゃあ、俺と付き合ってくれますか?」


言っちゃった。ラブニウムの影響をいいことに、アイドルを彼女にしようだなんて。そもそも愛菜はどうなる?二股をすることになるし。俺馬鹿だ。俺は慌てて「俺には彼女がいるから、付き合えない、ほんの冗談」と訂正したのにもかかわらず、彼女はそんなことでいいのかと言いたそうな顔で、「わかりました。これからよろしくおねがいします。」といった。どうやら本気のようだ。


「こ、こちらこそ。よろしくおねがいします。長谷川さん。」


「あの。いい加減、その、敬語をやめてくれると...嬉しいです//」


「ああごめん。じゃあよろしくね。長谷川さん。」


「はい、よろしくです。陽季君。」


え、いきなり名前。死ぬ。まあとりあえず俺達は、付き合うこととなった。後でしっかり愛菜に説明しなきゃ。すまん愛菜。


俺の精神は、いろんな意味で死にそうだ。


ちなみに、なぜ転校生がこんなにも早いのか?それは、彼女たちをくっつけるラブニウムの影響だということを、誰も知らない。




後書き


はい今回もお疲れ様でした。いかがだったでしょうか。今回は新ヒロイン、長谷川命生メイちゃんが登場しましたね。いやぁ可愛いですわ。アイドルですからね。ちなみに、グループ名がOASISなのは、オアシスって砂漠で言えば、安らぎの場所ですよね。陽季君はぼっちで落ち着くばとなった場所がアイドルを推すこと。なのでそこをかけてます。何で長谷川という名字なのか、それは本当は名前関係を星とか歌とか入れたかったんですよ。でもそうすると愛菜の名字はどうするってなったんですよね。愛菜もカリスマを与えたかったんで名字を星川にする、すると星かぶるじゃないですか。なので学校のクラスで席が隣になるように名簿をそれっぽくしたら、長谷川が隣になるんじゃね?てことになりました。そして、命生の由来は、星が使えないんでいのちにしたらロマンチックじゃないかなって。命生の生きるも、衣にしなかったのもそういう意味です。ちなみに愛菜の由来は、ラブニウムのきっかけとなった娘。なんでラブニウムのラブ、を取って愛菜です。(個人的に愛菜という名前は気に入っています)てかそんな雑談置いといて。今話も読んでいただきありがとうございます。本当に嬉しい。この調子で作っていきますので、皆さん評価、コメントしてくれると励みになります。それでは長くなりましたが次話出会いましょう。

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