第15話 決着

「いた!」

 猛禽類の頭、蜥蜴の身体、馬の脚、狐のしっぽ……

 魔物の見た目は歪だが、ちょっと歪すぎね?

「$€₩$₩]$€$€$]$€€€!!!!!」

 うるさー………

 俺を認識した魔物がしっぽを左右に振ると、周囲に霧が発生する。

「……あの図体で奇襲すんのかよ………」

 視界が白に覆われる。自分の感覚だけを頼りに周囲を警戒する。

パカ!パカ!

 これは……馬の蹄?

「チッ!魔物の脚!」

 けたたましい脚の音のせいで、感覚が乱れる。

 波の音と馬の蹄が辺りの岩場に反響する。

「$$€₩₩$¥$€$$%₩₩₩$$€$€'€₩₩₩=€!!!!」

 っ!顔!?

 魔物の蹴りが顔面に飛んできた。

 それを間一髪で剣で受け止める。

「ぐっ!強ぇえな!」

「$$€₩₩₩₩¥$%$'"$¥$$$$%!!!!!」

 魔物は続けて嘴による乱れ付き。

「一撃が……重い!」

 速いくせに力がありすぎる………!攻撃に移れない………!

「ここは、距離を……!」

 嘴が向かってきたタイミングで思い切り剣をぶつけ、勢いのまま後ろに後退する。

「よし……チッ!また霧か………」

 完全に霧が発生する前に!

「俊敏なる風よ、我を包み、全てを捨て去れ!」

 詠唱が終わると同時に魔物に向かって突撃する。俺の速度で、ある程度の霧は晴れた。

「落斜!」 

 自分の行動速度を極限まで高めた上からの一撃。それを魔物は首から受けてなお、傷は浅い。蜥蜴の鱗はここまで硬いのか?

「マジ……!弧鋭!」

 落斜の後に魔物の後ろに着地し、そのままの勢いで下からの斬り上げ!

 ……うし!狐のしっぽの部分を切り捨てることが出来た。

「¥₩₩※※※※※※※※※※※※※※※!?!?!?」

 今までと違った声が上がる。痛みで狂乱状態と言えるか。

 ここで畳み掛け………られんわ!

 狂乱した魔物は、蹄を地面に何度も打ち鳴らすと、四本ある脚それぞれが風を纏い、身体が持っていかれそうになる程の強風が辺りを襲う。

 離れなきゃ!





「……ふぅ、どうするべきか…………」

 遠目で見れる程度まで距離を取り、しばらく観察する。

「疲れるけど……しゃーない。

我が身削りし御業、その身体に刻まん!鋼断・飛!」

 鋼断の斬撃を飛ばし、魔物が発生させた風を切り裂きながら魔物の脚を断つ。

「€€€€€※※※※※※※※※※※※※※※※※※※!?!?!?」

 足に意識を集中させ、数歩で魔物まで走る。

「翔連!」

 足と剣で自分の全身を支え、アクロバティックな動きで翻弄しながら連続して斬りつける。

 身体は蜥蜴の鱗で覆われているが、それ以外は柔い。そこを集中して狙えるコントロールも翔連ならではだ。

「※※※※※※※※…………………!」

 勢いがなくなった魔物は、その身体を地面につけた。

「トドメだ、弧鋭!」

 頃合いを見て魔物の首を落とす。油断なくすぐに殺せるように、型を使った。

 完全に殺せたようで、魔物は光の粒子となって消えていく。

「これで一段落………と。」




 その後の調査の結果、魔物はあの一体だけだったようで、俺の極秘任務は終了した。












「うん、アファルお疲れ様。怪我はない?」

 キグミナス様が心配してくれた。

「はい、問題はありません。ですが、一日休養は欲しいですね。身体的にはそこまでですが、精神的に疲れました。」

「うん、そうだね。それはもちろん考えているよ。」

 よし!………後は………

「えぇ……アクライヤ?特別ボーナス………」

「………………ふむ。」

 な、長ー。長考しすぎだろ………

「アクライヤ、良いんじゃないかな?アファルもがんばってくれたし。」

「フゥー…そうですね。何が良いですか?」

「え?給料上乗せじゃないの?」

 賞与みたいな感じだとばかり。

「それでも構いませんが、別の何かがあればそれでも良いでしょう。早期発見の功もあなたのものですし、剣士であるあなたなら、お金よりも欲しいものがあるのでは?」

 なん……だと!?

 ここで、無駄に時間を使ってはいけない!無理なく今回の働きに見合った報酬かつ、俺が簡単には手に出来ないもの……………ハッ!

「な、なら……昔マッターさんが取り扱っていた電流を放つロングソードが欲しい…です。」

「…確か、雷剣でしたか。良いでしょう。準備をしておきますね。」

「あ、ありがとうございます!」

「うん、アファルが喜んでくれるなら良かった。それじゃあ、今日はもう休んでいいよ。」

「は!失礼します。」


 俺は小躍りしながら部屋に戻り、疲れを溶かすように眠りについた。

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誓いの紋様 麝香連理 @49894989

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