約束をもう一度
ミコト
第1話
「どこで間違えてしまったのだろうか」
そんな後悔を抱えながら人は生きていくのだろう。
これはそんな私達がやり直すまでの物語。
私達の出会いは幼稚園まで遡る。
お互い人見知りが激しく親の背中に隠れながら挨拶をした。
それから何度も遊ぶうちに仲良くなってお互いの家で遊ぶようになった。
ある夏の日どちらともなく水族館に行きたいと言い出して両家族みんなで水族館に行った。
初めての水族館に私達は目をキラキラさせながら満喫した。
思えばあの日の水族館が人生で一番楽しかったのかもしれない。
それからは毎年夏になると一緒に水族館に行った。
小学校に上がり中学生になっても私達の関係はなに一つ変わらない「永遠」だと思っていた。
だけど「永遠」なんてものは無かった。
高校生になれば環境が変わりそれぞれ付き合う友達も増えていく
新しい出会いが新鮮で楽しくていつの間にか2人で遊ぶことも無くなり一緒に水族館に行くことも無くなってしまった。
高校生活も順調に進んでいき私達は卒業した。
この日から私と彼女の人生は交わることは無くなった。
その後の人生といえば順風満帆とは言えないがそれなりに楽しかったと思う。
しかし心にぽっかりと穴の空いたようなどこか寂しさを感じていた。
ある日、何でもない机の引き出しがふと目についた。
開けてみるとそこにはあの日初めて行った水族館で買ったお揃いのイルカのキーホルダーがあった。
「この気持ちの正体が分かるかもしれない」
そう思った私は次の休みの日にあの水族館に行ってみることにした。
キーホルダーを握りしめながら歩いていると
「久しぶり」
思わず声を掛けてしまった
その声に思わず振り向いてしまった
「ねぇ、それって・・・」
2人して同じことを言ったのがなんだかおかしくて笑ってしまった。
そこからは昔のように話しながら水族館を周った。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい別れの時間となった。
「楽しかったね」
「うん・・・」
「また来たいね」
「うん・・・」
「どうしたの?」
「私達、昔みたいに仲良くできるかな?」
「・・・なに言ってるの?」
「えっ・・・」
「また来たいねって言ったじゃん」
「それってそういう意味なの?」
そんなことを言いながら2人で笑っていると心が満たされた気がした。
約束をもう一度 ミコト @rqy_416
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