虫や花、星といった自然のモチーフが、まるで時間の軌跡をたどるように配置されていて、読んでいてとても心地よかったです。特に「恋の海カンブリア紀の遅日かな」や「初明りやブラックホール底へ底へ」といった句は、スケールの大きさと詩情がうまく重なっていて印象的でした。生き物の細やかな描写と、宇宙のような広がりのあるイメージが交互に現れて、夢を見ているような感覚になりました。静かで少し寂しさもありつつ、やさしい世界に包まれたような気持ちです。
アイデアに適した視野で詩が描けていると思います。 ミクロの題材にはミクロの視点で、マクロの題材にはマクロの視点で。 そこら辺のピントの合わせ方が自然です。 句順にも工夫が見られ、総じて丁寧につくられている印象を持ちました。 句順のなかで、それぞれの句が生き生きとしています。
どの句も好きですが、>マーシャリア色褪せゆくや夏まつり>霜降やクロナガアリの運ぶ種子この二句が個人的にお気に入りです。