第34話 スキルと加護を知る

「ようこそお越しくださいました」


入ってすぐのところに待っていたのは白いローブを羽織った腰の曲がっており杖をついているおじいさんだった。


でもなんだか凄みがあるように感じるが、理由はわからない。


「久しぶりだね。じいさん」


「ええ、お二人さんともお久しぶりでございます。お話は聞いておりますので、ご安心ください。こちらへどうぞ」


(お父さんとお母さんの知り合いか、なんかすごそう)


おじいさんは腰が曲がって杖をついているとは思えない程すたすたと歩いていき、後ろをついていく。


聖堂を進んで、脇にある扉の先へ進み、突き当りの扉の前でおじいさんは止まった。


「この中で、スキルの確認を行います。入るのは息子さんと私だけになりますのでご了承ください」


「おう、頼んだ」


「アンドレイ、あんなに頑張ったんだから絶対に悪い結果にはならないさ。安心しときな」


正直緊張してカチカチになった僕にそうお母さんは声をかけてくれた。


「わかった!!」


「それではこちらへどうぞ」


扉を開き、おじいさんが先導してくれたので後をついて部屋に入る。


部屋の中はそこまで広い感じではないが、電球みたいのがあるわけではないのに明るい。


真ん中に水晶のおかれた台座があり、その先の壁にモニターのような透明な枠があった。


不思議な光景に驚いていると、おじいさんが声を掛けてくる。


「ほほ、この部屋だけは本当に特別な部屋でしてね。用がある時以外の立ち入りは関係者であったも禁止されてるほどなのですよ。それでは、この水晶を両手で包むように触れてみてくださいな」


「はい」


ドキドキしながら水晶の前に立ち、両手を上に伸ばして水晶を包むように触れると光を放ちながら魔力が出てきて手に纏わりついてくる。


壁についているモニターのようなものがほんの少し光を帯びながら少しずつ文字のようなものが浮かんできた。


この世界に来てから戦闘訓練ばかり行っていた影響で文字の読み方を一度も学ぼうと思ったことがなかった為、一つも読めてはいなかったが……。


おじいさんは浮かびあがる文字を見て、目を見開き驚愕している様子だった。


「いったい……、どうして……?」


どうしてと言われても僕には読めないのです。


おじいさんが復帰するまで十秒ほど待つと。


「これは皇太子殿下が口封じをしたくなるのも間違ってはおらんか……。アンドレイ君、君の得ていた力は一流どころではないのですよ。この歳になってこんなに驚くことになるとは……長く生きてみるものなんですな……ほほほ」


「ごめんなさい、字が読めないんです」


「おお!それは失礼失礼。読み上げますのでよく聞いてくださいな」


そう言うとモニターのようなものを見て読んでくれた。


「まずはスキル<ストーンスキン><狂化><魔力操作><身体強化><魔力感知><剣術><斧術><体術><投擲術><剛力><軽業><直感><危険察知><生存本能><闘争本能><万夫不当>となっておっておりまして、正直これだけでも本当に、本当に信じられない事なのですが。もう一つ特質すべきことがあるのですよ。それが神から頂く加護に関してです。アンドレイ君、君の得た加護は<戦神の加護>そして<地母神の寵愛>……。加護を頂けるだけでも本当に有難い事だと言えますが、アンドレイ君の場合は地母神様の寵愛を受け取っている。長い事生きてきましたが神の寵愛を受け取られていた方を私が知っているのは一人だけ、現教皇その人だけなのです」


なんだかすごそうなスキルを貰った話を聞いた後になんか凄い神様から凄い事されている事しか正直理解が及ばなかったけど、きっと悪い事はないだろうと思うことにした。


ぼーっとしてしまっている僕におじいさんが続けて声を掛ける。


「アンドレイ君は神様が何柱おられるか、知っていますかな?」


「えーっと、10柱?人?です!」


「その通りです。では何の神が存在するか知っていますかな?」


「知りません」


そう言うとおじいさんは眉を潜めて首を傾げた。


「アンドレイ君の村にアリーという女性が居るはずなのですが。彼女から神について聞いていないのですか?」


「アリーさんからは一回も聞いてません!」


それを聞いたおじいさんは顔を凄みのある笑顔にし、頷いた。


「どうやらアリーには長い説教が必要なようですな。では、このじじいが神様のお名前をお教えさせていただきますな」


そう言って、10柱の神様の説明を始めてくれた。

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笑い、戦う 丈三太郎 @fujimu321

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