第2話 『能力と代償』

ゲーム開始後、劇場の裏側に気がついたら存在していた森の中で話し合っていた。

「ストレアさんが言っていたのは、『嘘をつかなかったらアウトになる』ということ…。なら、なんで俺と羽鳥さんの会話はセーフなんだ…?」

羽鳥さんは少し考えた後に言った。

「おそらく…伝達ミスだと思うんだ。」

「どういうことです?」

「おそらくこれはチーム戦で、2人1組のバトルロワイヤルという感じなんだと私は思う。」

俺は暫し考える。

「それなら、そろそろストレアさんの方から発表があるかもですね。」

「そうだね。その可能性は非常に高い。」

すると突然、頭の中に声が響く。

「はいはーい、主催者からの追加ルールだよ〜?追加ルールは、記憶の中に流しておくよ〜」

その言葉の後、追加ルールらしきものが記憶から溢れてくる。

・その1 このゲームはチーム戦

・その2 チームは原則2人1組とする

・その3 チーム内では、ゲームのルールは一部適用されない

「俺思うんですけど頭の中いじられるの怖いんすよね…」

「大丈夫。私だって怖いさ。」

そんな他愛もない会話を交わしていた時、急に頭の中に名前と能力が流れ込んできた。名前を確認する限り、俺のもので間違いない。

その時、羽鳥さんが話しかけてきた。

「君も能力通知が来たのかい?」

「はい。バッチリ来ました。」

そして羽鳥さんは考え込み、提案した。

「そうだ。チームなのだし、お互いの能力を開示しないかい?」

勿論、俺は快諾した。

「じゃあ私から。私の能力名は『物質転動』。内容は、『視認できる物質と位置を入れ換える事ができる』というもの。まぁ、デメリットはあるけどね。」

俺は正直デメリットが無い能力だと思っていたので正直吃驚した。

「あの…質問なんすけど、そのデメリットってのは一体…?」

羽鳥さんは答えた。

「物質と入れ換わったときにその物質が小さすぎた場合、死に至るっていうデメリットだね。」

俺は説明が終わったと思い、話し始める。

「じゃあ次、俺の番ですね。」

俺は、頭の中で響いた言葉を一言一句漏らさずに言った。

「君は…そんな能力なのか。意外と言うわけでは無いが…少し外れだとも思う。」

俺は落胆した。その様子を見て、羽鳥さんは言った。

「でも、使い方によってはすごい良い能力だと思う。君自身が、模索していけばいいのだからね。」

「羽鳥さん…ありがとうございます。」

「いやいや、私こそ心細かったんだ。仲間が居てくれて本当に良かった。」

そうやって会話を楽しんでいる時、不意に後ろの茂みから石が飛んできた。

それを俺は見事に避ける。

「チェッ、当たんなかったか〜…彩子あやこ、こいつらなんか強いよ。」

「そうっぽいね。燼子じんこ。気を引き締めて行こう。」

そして俺達に襲いかかってきた。

「だ、誰だお前ら!なんで俺達に攻撃を仕掛けようとしているんだ!」

すると、突如身体に激しい激痛が走った。

「うぐっ!」

「ははっ!、忘れたの〜?ここは嘘をつき続けなければいけない場所だよ〜?」

そうだ、そうだった。

俺は辛うじて奴等の攻撃を躱し、その身体に拳をねじ込んだ。

「っ!痛いねぇ〜…彩子!そいつらちゃいな!」

「ん。りょーかい。『風発かざはなし』!!」

彼女がそう言うと、急に突風が吹いてきた。

「う、うわぁぁ!」

俺は、情けない悲鳴を上げて木に激突した。

「ねぇ~彩子、こいつどうする?」

「もちろん、しけー。」

「りょーかい。…だってよ?。」

倒れてる前で随分と勝手な事を言っている。

しかし、今の俺はボロボロだ。

折れた肋骨、擦り傷もある。

何より、力を入れようとしても力が入らないのだ。

俺はただ、死を受け入れるしかなかった。

ふと前を見ると、後ろから何かが飛んでくるのが見えた。

あれは…羽鳥さん?

「そら!」

二人にキックをかまし、羽鳥さんが俺を守るように少女たちの前に立ちはだかった。

「さて、少々痛いですが…我慢してくださいね?」


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君と希望の花園で。 letam @letam_ss

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