本編に入れなかった小噺集
閑話① 【化けの皮】東京第1ダンジョン【剥がしてやるよ】
――『LIVE:【化けの皮】東京第1ダンジョン【剥がしてやるよ】』。
その放送が始まったのは、東京第1ダンジョンの『魔物氾濫』が始まり、昼の12時を回った頃の話であった。
:なんぞ、この配信
:ダンジョンの中だけど、マジで東京第1ダンジョンなん?
:てか配信者どこ??
:あ
:あ、いた
:仮面被ってる
:あれ、コイツテレビで犯行声明流したヤツ?
:真似じゃね?
「あァ? あー、よぉ、始まってるみてェだなァ。見えてっか?」
配信画面に映り込んだのは、一人の男。
仮面をつけたその姿は、つい先程全国区のテレビ番組でも放送された、ダンジョンの『魔物氾濫』を意図して行ったとする旨を仄めかす犯行声明を発表した人物、それとまったく同じ仮面をつけた男であった。
そんな男の特徴的な、相手を威圧するような、それでいて挑発的な喋り方に態度。
それらを前に、俄にコメント欄が騒ぎ出した。
:こーれ、ホンモノっぽくね?
:この頭悪い喋り方……これはホンモノだ!
:ナイフ舐めそうなこの喋り方は本物だ!
:拡散してくる
:頭悪い喋り方は草
:拡散されてた
:ナイフ舐めるww
:はえーなww
「おーおー、増えてやがるなァ。よく来やがった……っておいコラァッ! 頭悪い喋り方だァ!? テメェ、見つけ出してぶっ殺してやるからなァ!」
:草
:配信者適性プロレス部門 ◎
:んっんー、これは亜熱帯地方特有のフルーティーな香りですねぇ。煽り甲斐がありそうで大変素晴らしい
:ソムリエっぽいのおるんだがww というか亜熱帯地方どっから出てきたww
:拡散からきました、これマ?
:さすがに便乗系はやらんだろ、この状況で
:やってるのいるぞ。『犯行声明を出した犯人の弟です。全てをお話します』って他の配信サイトでやってたわ
:全て何を話すんだよww
:相変わらずアホ湧いとるww
:ちょうど開いたらBANされとった
:そらそうよww
次々と流れるコメントの数々に、男――『月狼』は苛立ちのままに再び声をあげようと息を吸い込む。
そんな『月狼』に向けて、連れていた部下が画面の外で手のひらを下に向けて広げながら、上下にゆっくりと動かす姿に気が付くと、小さく舌打ちして気持ちを落ち着けた。
「あー……。アレだ、テメェら、テレビで放送された放送は見たよなァ?」
:見た見た
:放送された放送……?
:力こそパワーみたいな表現きて草生える
:見たよ。今日のプリン特集(まったり散歩の中の)
:あのラストは最高にクールだったよな。来週の変身シーンめっちゃ気になる(日アサは義務)
:お前らこれマジだって! 煽んのやめろよ!
:だって放送された放送って何の事だか分からんもん
:草
:くっそww
「フザけんじゃねェぞ!? 東京第1ダンジョン、『魔物氾濫』の声明だ、クソがァ!」
:ひぇ
:めっちゃキレてるww
:草生えすぎて樹海
:樹海はやめろww
:ヤベェ、コメ欄の煽りとかスルーできそうにねぇぞ、コイツ
:マジでやめろって! 『魔物氾濫』起こすような相手だぞ!
:ごめんてww
コメント欄に流れる動画配信特有のノリは、特に切迫している様子は見られない。
というのも、ここに至るまで視聴者たちにとってみれば、配信に映っている『月狼』が本物の騒動の実行犯であるかどうかの判別がついていないのだ。
これも『月狼』が仮面をつけている弊害とも言えるが、悪ふざけしたような動画、模倣したような配信がいくつか始まってしまっており、信憑性に欠けているという点が影響している。
しかし、あまりにも視聴者側の悪ふざけが過ぎたのか、『月狼』が苛立ち混じりにその足をダンジョン内部、守護者部屋の壁を蹴りつけ、常人では到底奏でられない衝撃音が鳴り響いた。
「ぶっ殺すからなァ、テメェらァッ! ウチのヤツに調べさせて、ぜってェ見つけて殴り殺してやらァッ!」
:ひえっ
:こわ
:これは高位探索者の実力
:悲報、本物の気配
:同接ちょっと減って草
:配信で堂々と脅迫とかかましてくる辺り、笑えないぐらい本物っぽい
:ゆるしてください
「ハッ、分かりゃあいいんだ。――いいか、テメェら。俺らは魔物を使役できる。この力を使ってこの国の上の連中を交渉するつもりだってのは、ウチのイカレ野郎から聞いただろうよ。その力を見せてやるっつーのも今回の目的ではある。今頃、俺らみてェのを使って交渉なりなんなりしてる最中だろうが……――俺ァそんなつまんねー事に興味はねェ! 『ダンジョンの魔王』とかいうクソガキをぶっ殺すためにここにいるッ! アイツを呼び出して、『ダンジョンの魔王』なんてモンはいねェって事を証明してやるぜ! 化けの皮を剥いでやるよッ!」
:すごい自信
:マジか
:ガチテロってこと?
:テロのデモンストレーション+ダンジョンの魔王を呼び出すってことか
:そんなことのためだけに『魔物氾濫』を引き起こしたのか!?
:おや、『深層の悪夢』さんの悪夢をご存知ない??
:アレって人間にどうこうできるレベルじゃなくね?
:魔王に勝てるぐらい強いん?
:それだけのために他の人間がどれだけ犠牲になると思ってるんだ!
「はァ? 知らねーよ。犠牲になるかどうかなんざ知った事か、アホくせェ。雑魚は死んでろ。生きる価値がねェってこった」
:通報
:通報しました
:通報すんな、バカ。これ配信止めたら状況把握する術がなくなるんだぞ
:ヤベェ、今日日曜か
:気に喰わないとすぐ通報キッズが大量に湧くなあ、これはww
:通報しました、警察に
:警察のためにやめてさしあげろアホw
:もう警察は通報されてるんよ、『魔物氾濫』の件とかでw
:【探索者ギルド公式】下手に刺激はしないようお願いいたします。また、通報の件についてですが、『D-LIVE』運営に直接連絡を取り、BANや配信の停止が起こると情報が手に入らなくなる可能性があるため、通報については無視していただくよう依頼済みです
:ナイスギルド!
:これはファインプレー
:ちょっと男子ィ
「……コイツら……ッ!」
唐突に配信などするものだからこうなるのだ、と言いたいところではあるのだが、『月狼』は配信を、そして配信の視聴者層というものをあまり考えていなかったようで、しばらくはこのようなやり取りが続いていた。
――――配信開始から1時間が経過。
:いやぁ、なんていうか……
:来ませんねぇ、魔王様……
:まだ倒せねーのかよw 俺だったらさっさと行って倒してるよw
:↑おう、いってこい
:キッズ相手にすんなw 黙ってキッズだけ通報しとけw
:フザけんな俺のアカウントとまっただろ!
:はい2発目どーん
:日曜の弊害w
:キッズコメはさっさと通報して黙らせた方がいいぞ。構うと調子に乗るからさっさと喋れなくした方がいい
:通報班、ヨシっ!
:お、やってる??
:居酒屋ネタやめーやw
:そのネタ、もう何回かこの配信で見たぞw
:というかせめて間を保たせるために喋ってくれ
:いや、それ配信者に求める要求なんよww
:まあ、コイツらただの犯罪者だしな
:コメントすら見てねぇし
:おかげで調子取り戻したコメ打ち勢
:そもそも魔王様テレビも配信も見ねぇだろw
:未だかつて、こんなにも動きのない配信で同接21万人なんてあっただろうか
:いや、ない
:伝説を打ち立てた、ってコトォ!?
:草
:【速報】『大自然の雫』、精鋭陣出発とのこと
:マ!?
:ホームを荒らされて黙ってる訳にもいかんか
:配信コメで言うなバカ
:流せ流せ
:流せー!
:大重さんなら多分勝てる。コイツら位階いくつか知らんけど
:丹波ちゃんワイの推し
:推しとか聞いてねぇんだよなぁww
――――3時間経過。
:あああぁぁぁ、推しが軒並みこの事件と配信で配信中止いいいぃぃ
:しゃーなしww
:早くコイツどうにかしろよ
:探索者なんだから戦えよ、義務だろ
:義務は草
:やくめでしょ!
:はい、役目で義務のキッズ通報完了
:キッズがダンジョン配信観れるのって相変わらず問題になってるしなぁ
:深層入口の守護者部屋だろ? さすがに遠いよなぁ
:特区に住みたいとかいうアレなw
:人を狙ってくる熊とか猪とかが大量に出る森でそいつら殺して生き抜けってことなんよな、ダンジョンて
:だから探索者は特区出身者以外なかなかならんよなー
:絶対わいは無理。ちな山で猪遭遇して追われた経験者
:現場近く探索者わいから報告。外は魔物だいぶ減ったと思われ
:弾切れかな?w
:いや、東京第3ダンジョンの『白姫様に踏まれ隊』が増援に来て殲滅速度上がったっぽい
:あぁ、あそこか……
:姫「さあ、下僕たち! やっておしまい!」
:下僕「いえすまむ! ぎゃーー!」
:姫「おーっほっほっほっ、無様ですわねぇ、下僕たち!」
:あそこはなぁ……ww
――――そして、『大自然の雫』が到着。
:ん?
:お
:え、いつの間に!?
:大重さんいったれー!
:あれ
:当たったよな?
:なんで無事なんだよ!?
「誰かと思えば、随分なご挨拶じゃねェかよ、えぇ? 『日本最強』さんよォ」
「……俺たちのホームを荒らしておきながら、俺たちが笑って許してやるとでも思ったか?」
最初の一撃を確実に入れたかと思えば、しかしその攻撃に『月狼』はダメージを喰らっていないように見えて、コメント欄でも困惑の声が上がる。
それと同時に、『大自然の雫』の到着がSNSなどでも拡散されたおかげか、ぐんぐんと同時接続人数は増えていた。
:何か話してる
:犯人グループ、別でマイクつけてないから聞こえねえええぇぇぇ!
:お?
:なんぞ??
:オーディエンスがどうの言われた
:俺ら??
:戦いの前の口上って感じでカッコイイ(聞こえれば)
:草
「丹波ッ! コイツは〝領域魔法〟の使い手だ!」
「――ッ、皆さん停止を! 〝
:丹波ちゃんきちゃ!
:領域魔法?
:なにそれ?
:展開しちゃう??
:それは違うwwww
:懐かしい魔法だな。かつては生贄魔法とも呼ばれていたが、その名前の印象が悪く、領域魔法と名前を変えたはずだ。だが、使い手はほぼいなくなったと聞いていたが……
:詳しいニキいた!
:ニキじゃない、ネキだ
:ア、ハイ、スマセン
:なんで大重さんのフォローに入ってあげないの!?
:領域魔法は領域内に術者が指定した法則を与える代物だ。その法則が分からない限り、下手に領域内に入るのは得策じゃない。外からの攻撃も、法則によっては大重氏にダメージを与える可能性もある。下手に手を出すより解析を優先させるあたり、丹波氏は冷静だな
:めっちゃ詳しくて草
:強すぎ魔法で草も生えんが??
:え、じゃあマジで手出せないってこと!?
:解析するまでは手を出せないな。しかし、あの男、何を生贄にあの魔法を成立させていると言うのだ……?
:マジか
:解析頑張れー!
注目度の高い配信ということもあってか、視聴者の中には魔法に対する造詣の深い者もいた。
結果として『大自然の雫』の面々が直面している状況は視聴者たちにも伝わったようで、じわじわと膠着状態が続く事態の推移を見守っている。
そんな中で、『月狼』が優位性を感じ取り、魔物の姿を晒させた。
:ここで魔物!?
:いや、でも様子がおかしくね?
:動かないな
:そういうことか! 使役の首輪で魔物の動きを封じ、生贄魔法の生贄を魔物に指定しているのか! なるほど、確かに魔石を利用した発動は着目されていた。であれば、魔物でも発動は可能ということか!
:なんかよう分からんが、すごいことなんだってことはわかった
:わがっだ!
:分かってなさそうなヤツが分かったフリしてて草
:草生やしてる場合じゃねぇんだって!
:どうやら大重氏は丹波氏が法則を調べるまで耐えるつもりのようだな。妥当だな。向こうの主犯の部下と思しき者たちは、戦闘に参加せずに妨害か? ふむ、攻撃をすると作用してしまう法則がありそうだな
:そうなの!?
:ネキ実は凄い人なんだなって
:私のことなどどうでもいい。それよりもこの状況をどう突破するかだ
:丹波ちゃん解析がんばえええ
:『大自然の雫』ふぁいとおおお!
領域魔法のギミックである、魔物を生贄としたその方法。
音声がどうしても拾いにくいものの、ネキと呼ばれた一人の視聴者が素早く情報を判断し、それらをコメントに記載して投下していくため、状況は視聴者たちにも伝わっていた。
領域魔法の危険性と、解析に手間取っている状況。
しかしそこで、事態は急変する。
:ん?
:何あれ
:魔王様きちゃ!?
:きたああああああああああ
:え、でも領域魔法の中じゃん!
:魔王様ピンチ!?
:え
:は?
:はーー????
:うっそだろwwww
:うわ
:音量注意
:やば
:なにこれ
:今の魔法???? あんなん個人が出せるものなんです????
:波動砲的なアレやんけwwww
:ノイズ走ったと思ったらレーザー飛び出た
:何かが砕けた?
:……あんなことが可能なのか? 生贄を吹き飛ばした……? バカな、〝法則〟が発動した形跡はないぞ。魔法を破壊したのか? そんな魔法聞いたことがない
:有能ネキの困惑
:なんかすごいことはわかった
:分かってねぇだるぉ!?
:相変わらず小さいな魔王様
:なのにこの圧倒的な貫禄
:っっっっっぱ魔王様よ!!
魔王の登場と同時に、「なんとなく邪魔だから」とつい先程まで膠着状態を生み出していた魔法を破壊し、コメント欄を混乱させる。
大重らに対して何やらフレンドリーな様子で話しかけていたが……しかし。
「俺はこの歳で位階Ⅷの天才だ! それだけじゃねェ! 最強の領域魔法があれば、俺は負けねェ! それを、それ――がっ!?」
:かたまった
:ぐるぐる
:なにこれ
:え?
「――ねえ。おまえ今、位階いくつって言ったのかな?」
:ひえ
:何これなにこれ
:ペットたちがめっちゃダッシュで逃げたんだが
:はきそう
:いや、というかなんで今の魔王様? なんであの小さな声だけクリアに拾えたの???
:え
:たしかに
:こわ
:ひえ
:ノイズやべええええ
:これは恐らく、超高密度の魔力のせいだろう。おそらく魔王が纏っている魔力が、先日の『燦華』の配信の時よりも強くなっているらしい。だが、それにしたって次元が違い過ぎるぞ、これは
:どういうこと!?
「くく……くくく……ッ、あっはははははっ! 位階Ⅷ!? 最強の魔法!? あはははははっ、笑わせてくれるじゃないか! たかが数回死にかけた程度で到達できてしまうような位階で! 吹けば飛ぶような強度の魔法で! 自分は最強? だから僕に喧嘩を売ったと、そう言うのか!? あっはははははっ!」
:ひぇ
:完全にぐるった
:かたまた
:位階Ⅷってどんぐらい?
:位階Ⅳで拳銃の銃弾を視認して避けれるようになるって聞いた
:位階Ⅵで銃弾が痒いって話な
:つまり常識の外側の存在ってことかよ
:位階Ⅷがたかがって、じゃあ魔王様って位階いくつなん?
:最低でもⅩは超えてるだろ。人類の今の最高値が位階Ⅸって話だけど
:魔王様倒せってなったら人類絶望しかないじゃん
「――あぁ、もういいや。
:うわ
:ぞわっとした
:ぐるってたのにいきなり聞こええええええええ!?!?
:翼!?!?
:え、なにあれ
:一緒に観てた友人探索者、今の声だけで気絶したんだが!?
:こわ
:だめだこいつはほんとにだめにんげんにはかてない
:バサァってするの好き!
:幻想的
:羽根一本ください!
:え
:大重さんが叫んで倉本さんが弓谷ちゃん引っ張った?
:え、煙?
:なんか溶けてねぇ??
:あれ、羽根が落ちたとこだよな?
:え、こわ
:なにあれ
:幻想的とは
:羽根に触ったらああなるの……?
:一本くださいって言った者です、やっぱいらないです!
:草
「ぎゃああぁぁぁッ!?」
「あ、ああぁぁ……っ!? お、俺の足、足がぁ……ッ!」
「ああぁぁぁぁっ!」
:ひぇ
:う、ぐろ……
:きっっっつ
:むり
:離脱
:なんだ、あれは……? 溶けている……いや、違うな。結果だけ見ればそう見えるが、触れた箇所を見ると爛れ落ちたようにも見える。ふむ、是非後ほど解剖させてもらいたい
:詳しいネキ!?
:え、こわ
:映像が? ネキが?
:どっちもだよ!
:同接50万いってたのに今の一瞬で20万まで落ちたわ
:そら(この光景を見りゃ)そう(なるだろう)よ……
:正直グロ耐性がないと耐えられない
:さっき探索者の知り合いが気絶したって言ってたコメあったけど、俺も今兄貴が入ってきて魔王様見た途端に倒れた。なにこれ
:え、こわ
:私のような常人では感じ取れないが、力量を僅かにでも感じ取れてしまう探索者ほど、恐怖から意識をシャットアウトしてしまうのだろう。位階差が大きすぎると生じるらしい。そんな話を昔の『魔物氾濫』のデータで見たことがある
:なにそれ
:あ、ネキのそれ知ってる
:つまり一般人か探索者でも位階が高い人じゃないとアウトってこと?
:兄貴位階Ⅳなんだが?? なのに恐怖して気絶するレベルなの?? 怖すぎん??
:ちなお前は?
:位階Ⅰ、まだ学生
:なるほど、じゃあ感じ取れてない側だな
コメント欄の流れる速度が、目に見えて落ちた。
同時接続人数が減っているのは、間違いなく映像にぐずぐずに溶けた人間の姿が映り込んでしまったからである事は間違いない。
そんな中で、再び事態は動いた。
「あああぁぁぁッ!? あが……っ、う、でが、足がぁ! ぐっ、溶けで……!」
:は?
:ん?
:時間飛んだ?
:気が付いたら魔王様から刃が生えてて、手足が空飛んでた
:ぐろい、さすがにもうむり
:今の攻撃したの?
:こっちだけネット環境のせいで画面飛んだって訳じゃないのか
:うそだろ
:『深層の悪夢』さえ完全に封殺してたし、位階Ⅷじゃそりゃそうなる
:領域魔法が通用したのであれば、まあどうにかなったのかもしれんが
:登場から僅か数秒でぶっ放して破壊しちゃったし
:あ
:魔王様きえた
:よかった
:なんか魔王様キレてたから『大自然の雫』にまで攻撃したらどうしようかと思った
:しかしまあ、魔王様出てきてからはなんというか
:圧倒的というか
:ぐろ
:めっちゃ吐いた
:さすがにこれは魔王様
:人体が溶けるとか夢に見そう
:草も生えてこねぇんよ
:あの黒翼、カッコエェと思ってたら思ってた以上の殺戮兵器で草
:こんな時にも草生やすコメントしてることに草だが
:まあ、ついさっきまでコメントほぼ止まってたしな。同接50万オーバーなのに
:魔王様の黒翼無双入った時、同接20万台まで落ちた話する?
:そりゃ落ちるだろ
:あれはなあ……
:おわった?
:まだ映ってるぞ
:むりだわ
:同時接続の増減激しいなぁw
:耐性の有無で決まるわ
魔王が配信画面から消えて、『大自然の雫』の面々が犯人をどうにか回復させようと治療を施していく。
とは言え、魔王が残した呪いはあまりにも強力で、回復魔法を施してもポーションをかけてみても、一切回復する兆しもない。
どうやら溶かされた者たちは死んではいないようだが、むしろそれは死ねないと表現するのが正しいような有り様であった。
それでもダンジョンに放置していく訳にもいかず、一通りの治療を試していた、その時だ。
虚空が割れ、一斉に赤黒い鎖が飛び出して犯人グループの面々を縛り上げ、引きずり込んでいった。
コメントは静止していた。
何が起こったのかと目を向けた結果、身体の芯が凍りそうになるほどの恐怖がせり上がってきて、誰もが身体を、指を震わせ、ガチガチと歯を鳴らして固まっていたのだ。
それは『大自然の雫』も一緒だった。
この『魔物氾濫』を、そして騒動を容認した何者かを調べようと考えていたにも関わらず、しかし突如として虚空を割いて現れた鎖と、その先から感じられる異様な気配に動けずにいた。
そうしてしばし時間が過ぎて、ようやく『大自然の雫』が配信用のドローンを回収し、配信をストップさせたのであった。
◆――――おまけ――――◆
飢えた狼「…………」
しそー「おう、位階Ⅷ」
おーが「きたか、位階Ⅷ」
うえたおーかみ「なんなんだ、ここ……」
しそー「作中世界を眺められる場所、かね?」
おーが「気が付いたら俺らもここにいたしなー」
うえかみ「なんだそりゃ。つかなんか俺の名前変わっていってね?」
しそー「そりゃ宿命だわ」
おーが「どんまいww」
うおー「は? って、うおーってなんだ!?」
しそー「あー、こりゃ決定だわ」
おーが「3文字縛りみたいなとこあるから、俺ら」
うおー「はあ!?」
しそー「位階Ⅷよりマシだろ」
おーが「俺の位階は――Ⅷ、だぜ?(キリッwww」
うおー「いや、確実にお前よりはつえーからな!?」
しそー「それはそう」
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