君に寄せて

白川津 中々

◾️

動画アプリで某国のアカウントをフォローしまくっているのはお胸を拝見できるからだ。


伝統衣装からチラリ。あ、いいですね。


このご時世、Safariの検索バーに"おっぱい"と打ち込めば簡単に二つのお山を拝める訳だがそうじゃない、そうじゃないんだよ。18禁禁止の健全なサービスをうたうアプリで観るのがオツなのよ。しかも文化の侵害に当たるから削除もされない無敵コンテンツ。最強。

この極めて下衆な行為は墓まで持っていく所存。誰にもバレる事なく平穏無事に民族軽視的な性的搾取を行っていく腹積りで、俺は毎日一方的な異文化コミュニケーションを続けていたのだった。



だが、突然終止符。始まる破滅。

ある日フォロワーが爆増。見てみると某国のフォロワーがどんどん増える。なんだいこりゃあと思いながら眺めていると、メッセージ受信。確認。



友達へ。

遠い国から私達をフォローしてくれてありがとう。私達は、あなたともっと仲良くなりたいと考えています。

私達の国の友達にこの気持ちを話したら、皆賛同してくれました。

皆で友達であるあなたをフォローし、特別な動画も作成しました。よかったら観てください。


◯◯代表

マルコンナンジャッタ・ハルハマル・ネネンネーカン




送られてきた動画をタップすると、俺のアイコンと名前がデカデカと表示されていた。再生数は脅威の10000万。馬鹿かぁ世界は。



この動画はミームとなり暇人どもが特定作業を開始。本名などは露見しなかったが、フォロー傾向と見る人間が見れば一発で俺で分かるという情報が流出。見事に目論見が看破され会社にいられなくなった。



そうして無職になった俺が今手にしているのは某国行きのチケットとパスポートである。こうなったらもう、現地へ行くしかないと腹を括った。


パリマリマンカン(おっぱい揉ませろ)。



この言葉だけ覚えて……


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