タイトル「二人で話すスワンプマンとテセウスの船」

絶望を超越するもの

タイトル「二人で話すスワンプマンとテセウスの船」

俺たち二人の男はいつものように

学校の空き部屋でお菓子を食いながら話をしていた。


「スワンプマンを知っているか」


「ある男がハイキングに出かける。道中、

この男は不運にも沼のそばで、突然雷に打たれて死んでしまう。

その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばの沼へと落ちた。

なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、

死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。

この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。

スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、

見かけも全く同一である。もちろん脳の状態

(落雷によって死んだ男の生前の脳の状態)も完全なるコピーであることから、

記憶も知識も全く同一であるように見える[3]。

沼を後にしたスワンプマンは、死ぬ直前の男の姿でスタスタと街に帰っていく。

そして死んだ男がかつて住んでいた部屋のドアを開け、

死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読みふけりながら、

眠りにつく。そして翌朝、死んだ男が通っていた職場へと出勤していく。

とwikiに書いてあったのを最近読んだし有名だからまあ読む前から当然知っている


「なら聞かせてもらおうかお前はスワンプマンを同一人物だと思うか?」


「俺はそうはまるで思わないな」


「それは何故」


「死んだ存在が蘇ると言うことはない

ならばそれはただの記憶も遺伝子も同じ別人だ」


「そうかならばそれを見抜けると思うか?」


「見抜けるわけないだろ?記憶も遺伝子も同じなんだぞ?」


「まあそうだろうな」


「逆に聞きたいのだがお前は

スワンプマンを同一人物だと思っているのか?」


「いやまるでそうは思わないなだってそれは同値の存在だ

死体があってその人がいるならそれは別人である

その存在は自己同一性が連続してないただの別人である 

使い古した家電と全く同じ経年劣化を再現した家電なら

同一ではないが見た目は全くの同じであり見抜く術はない」


「その例えなら見た目でわかりそうだが何となく言いたい事はわかった」


そうして少しの沈黙が流れて。


「テセウスの船を知っているか」


「テセウスの船(テセウスのふね)はパラドックスの一つであり、

テセウスのパラドックスとも呼ばれる。ある物体において、

それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、

過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、

という問題(同一性の問題)をさす。

プルタルコスは以下のようなギリシャの伝説を挙げている。

テセウスがアテネの若者と共に(クレタ島から)

帰還した船には30本の櫂があり、

アテネの人々はこれをファレロンのデメトリウス

(英語版)[注釈 1] の時代にも保存していた。このため、

朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、

論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。

すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、

別の者はまだ同じものだと主張したのである。

プルタルコスは全部の部品が置き換えられたとき、

その船が同じものと言えるのかという疑問を投げかけている。

また、ここから派生する問題として置き換えられた

古い部品を集めて何とか別の船を組み立てた場合、

どちらがテセウスの船なのかという疑問が生じる。

とwikiに書いてあったのを最近読んだし有名だからまあ読む前から当然知っている


「なら聞かせてもらおうかお前はテセウスの船を同じものだと思うか?」


「俺はそうとまるで思わないな」


「それは何故」


「沢山変えられたらそれは同じ形をした全く別なものだ」


「そうかならそれは一体いつから全く別なものになると思う?」


「それは半分変わったのならばそれは別のものであると思っている」


「そうか」


「逆に聞きたいのだがお前は

テセウスの船を同じものだと思っているのか?」


「そうだな俺は同じだと思っている」


「それは何故だ」


「人間が二年三年も経てば身体の全ての構成原子は入れ替わっているが 

人間は同じ存在だそれは記憶があるからだ自己同一性が連続しているからだ」


「だから同じだと?」


「そうだ」


「そうか」


そうして二人の話は更なる深みにと入っていく。

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