二十八日目

「愛月さん、なんのフィルターもかけずに投稿しているでしょう?」

フィルター。

とはなんだ。

「何してんだよ、愛月。俺はフィルターは凄いものをかけているぜ!」

エスエヌエスの世界は、難しい。

「お前は、度が過ぎている。ほぼ、赤だ!」

橋川さん、エスエヌエスに詳しいんだ。

なんか、意外。

「エスエヌエスをほぼやっていない俺でもわかる。お前は下手だ。」

高田くんは、エスエヌエスに触れる機会が多くないらしい。

「高田のスマホには、インステップっていうアプリはあるの?」

インステップ。

私には、関係ないと思っていた。

でも。

流行りに乗って、インストールして。

まあ。

結局、興味はすぐになくなった。

「あるよ、相互フォローになる?」

ふむふむ、

とても、興味深い。

「なりたい!」

二人はおもむろに、スマホを取り出す。

「お前ら、相互フォローになっていなかったのかよ。」

人の価値観とか生活が、写真で垣間見えるいいアプリだ。

そのアプリでの友達も、是非増やしたい。

「ありがとう。」

え。

話の流れからして、私もじゃないの。

でも、まあ。

そうだよね。

怖い人に、わざわざ絡みにいかないもんね。

で、でもさ。

さっきも言った通り、人の価値観とか生活が見られるんだよ。

私が、めちゃくちゃ可愛いパンケーキの写真をあげてる可能性もあるじゃん。

それで、私の可愛さに気づくとかあるかもしれないじゃん。

橋川さんだけ。

なんか、むかつく。

そもそも、何がそんなに怖いの。

オーラって言っているけど、そのオーラはどこから来るんだろう。

目つきかな。

目つき鋭い人、漫画とかで怖いと思われがちだからな。

なんだ。

なんで、こんな時にインステップの通知。

「TAKADA149……?」

こんなダイレクトメッセージ、初めてきた。

「愛月さんにも。って思って。『TAKADA149』っていうところをタッチしたら、俺のプロフィールにいきます。フォローしろなんて言いませんので、お好きに見てください。」

もちろん、フォローします。

ちなみに。

大きく目を開いた画像を投稿して、顔を載せる人はあまり居ないことを知るのは。

別の話。



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高田に怖がられる愛月と愛月に好かれる高田 嗚呼烏 @aakarasu9339

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