二十七日目

「そういえば、高田くん。どうして今日は休みなの?」

ようやく聞けた。

なんで、高田の休みなんて気になるのかな。

なんて聞かれると、赤面して話せなくなっちゃいそうで。

「インフルエンザみたいだよ。」

心配そうな声と、親友だからこその笑い声。

「愛月、はちまるろく。」

はちまるろく。

「なんの番号ですか?」

戸田さんは、マンションを指で差した。

「部屋番号。面倒臭いから、このプリントを届けてきてくれ。」

含みのある笑いをする、橋川さん。

「え!?」

家の中に入ったことすらないのに。

弱っている可愛い高田くんを見るなんて、心臓が壊れる。

あれ、サイコパスかも。

「ポスト番号は、えっと。」

熱で敬語を使う余裕がなくなって、砕けた口調で話しかけてこないかな。

愛月。

粥、作ってくれないか。

はい、作ります。

とびっきり美味しい粥を。

チーズでも入れようかな。

「馬鹿。ポストに入れるだけなんだから、ポスト番号は言わなくていいだろ!」

ポストに入れるだけ。

そうか、プリントをポストに入れるだけか。

そうか、そうか。

うん、うん。

「い、入れてきまあす!」

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