二十六日目

「今日はなんと。高田お兄さんと愛月お姉さんが、怖好幼稚園に来てくれました!」

やっぱり、保育士さんって凄い。

子供が、大きい声で喜んでいる。

「高田と言います。普段はたか兄って呼ばれているので、皆もそう呼んでくれると嬉しいでぇす!」

このかっこいい人は、なんで大嘘をついているんだろう。

「愛月と言います。名前が冬美なので、冬ちゃんって呼んでくれたら嬉しいです。折り紙なら任せてくださぁい!」

あ、私も嘘をついちゃった。

似たり寄ったりな二人かな。

いや、高田くんと似てるなんて。

おこがましすぎる。

「じゃあ、早速。自由時間にします。お兄さんお姉さん達とも、遊んでね!」

子供の可愛い声が充満する。

「たか兄は、なにが好きなの?」

やっぱり、高田くんの人気が凄い。

「たか兄って、誰かな?」

緊張してついた嘘、緊張して忘れている。

可愛い。

「高田先生がたか兄なんでしょう?」

はっとした顔をするな。

「そうだった。たか兄の特技は、動物の鳴き真似だよ!」

大きく出たな。

やってしまったと言わんばかりに、こっちを見つめている。

「冬ちゃんにも、話を聞いてみて!」

子供達の人いきれが、足元に来た。

「冬ちゃんの得意な折り紙は何?」

折り紙。

大嘘なんだよな、不器用だからできたもんじゃない。

「冬ちゃんの得意な折り紙は……」

ん、冬ちゃん。

「冬ちゃん、どうして顔が赤いの?」

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