第3話 その土産は誰がため

 村まであと1里の森の中にて。

 村外旅行から帰ってきた老夫婦と田悟子とぼち。彼らの両手と背中には村の皆へのお土産の「きびだんご」が数え切れないほどあった。満面の笑みのぼちが

 「村のみんな元気にしてやしたかね、このきびだんご美味しかったから村の皆にもと思って買いすぎちゃいましたね。喜んでくれますかね。」

なんだか楽しそうな御一行。


 時は経ち、御一行は村の外れまでやってきた。そこで異変に気づく。いつもなら羊飼いが居るはずの小屋がまるでしばらく使われていないかのような、、、

それに村人たちの様子が何かおかしい、、、


 田悟子は村人たちに何があったかを聞いて回った。

どうやら村が襲われたらしい、村人たちは復興に忙しいという情報が得られた。

田悟子は情報を聞きながらお土産のきびだんごを食糧として村人たちに配った。


 きびだんごを大方配り終え、復興の手伝いもひと段落した。田悟子は悩んでいる。

 「このまま鬼に怯える生活で良いのだろうか。今、村にある食糧といえばきびだんごと奪われなかった食糧がいくらか、、、

もし、俺が仇撃ちに卯春梨城へと向かうのであれば食糧も幾らか持って行かなければならない。

しかし、災害からの復興に必要な食糧を、、、」


 翌朝、彼は老夫婦に置き手紙を残して旅立ちを決意した。12個のきびだんごを風呂敷に包み、使えそうな鍬を手に。

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創作昔話 著作:稲妻饗 夏川 @Abnomahou

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