第2話 鬼がきたぞ〜

 まだ鶏も鳴いていないような丑三つ時、村のはずれに住む羊飼いが大きな声を轟かせた。


「鬼が出た〜!みんな逃げろ〜!」


その声で村人たちは起きた。泣き喚く子ども、いざという事態に備えて武器を手に取る大人たち、安全な場所へと避難させられる村の年寄りたち。

しかし、いくら構えていても鬼が来る気配はない。夜明けを迎え、村人たちは慎重に鬼が潜んでいないか村中を捜索した。だが、何かが起こった形跡はない。村の宝も家も、食糧も無事である。


村人たちは羊飼いを問い詰めるが、

彼は「嘘はついていない。本当に見たんだ。」と言う。「あ、でも、もしかしたら狸とかを見間違えたのかもしれない。」

村人たちは渋々納得した。


次の日も同じことが起こった。

その次の日も。

1週間の間。


件の羊飼いはというと、いつのまにか姿を消していた。ただ、夜になると彼の声が何処からともなく聞こえてくるのだ。


疲弊した村人たちは彼の言葉を信じるのをやめた。


その2日後、村は襲われ、村の宝や食糧などは奪われていった。


 一方その頃、老夫婦と田悟子、ぼちは村外旅行を楽しんでおり、家を留守にしていた。

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