第29話 修羅場PART3

 俺が起き上がった瞬間3人と目があった。さっきまで言い合いをしていたはずなのに優しい目でこちらを見ている。ただ1人を除いて。

 というかめっちゃ怖い…。特に碧だ。優しい目をしているのだが、その奥からは俺への怒りをひしひしと感じる。確かに、碧にはここまでの諸々の話をできていなかったし怒られるのも当然かもしれない。


 それもそうなんだけど…零は相変わらず表情が何1つ変わっていない。優しい目というよりも引き込まれるような目をしてる。


「村雨くん起きたみたいね。さて、これからどういうことがあったのか話してもらうわよ」


 そう言う碧の目はさっきまでの優しい目とは違いこれでもかと怒りを感じる。元より話すつもりだったので、とりあえず今日の昼休みの屋上でのことや火憐にキスされたことなどを話した。


「ふーん…そんな事があったんだ。けど、私はそんな話知らなかったわね。なんでかしらね? 村雨くん? 」


「いや…別に悪気があったわけじゃないんだよ。学校だと話す機会もないから中々言えなかったんだ。」


「へ〜じゃあ私も明日から屋上で食べるね」


「え…?」


「何…? 嫌なの? 」


「嫌というわけじゃないんだけどさ…碧にだって友達との付き合いがあるわけだろ? それを邪魔してまで俺と一緒に食べるのはどうかと思うんだが? 」


「あらそれを言うならあの子達だって同じじゃないの? 」


「ふふふ…安心してよ響也。私に響也以外の友達はいない」


「私も…」


 いやそれは安心できることなのか? というか2人とも友達いなかったのかよ…。何かと人気だし友達ぐらいいると思ってたけど違ったのか。それよりも気になるのはなんで言い合いをしていたか? だよな。


「なぁ、聞きたいことがあるんだが、なんで言い合いをしていたんだ? 」


「それはね…さっき村雨くんが話してくれた宮野さんとのキスの件についてなのよ。この女はね私達にこれでもかっていうぐらいキスの自慢をしてきたのよ。そんなの聞いたらイライラするでしょ? だからよ」


 とりあえず理由はわかったんだけどさ…火憐はどうして自慢しちゃうのかな? 火憐が何もしなきゃこのまま平和? にいけてたかもしれないのに。

 もう何度目か分からない修羅場だよ。これって俺が悪いのかな? うーん? いや悪いな…。いきなりだったとはいえ火憐以外からしたら面白くもなんともないんだし。今後は気をつけないとね。あとは3人に早く仲良くなってもらわないといけないな。


 このままギスギスされると、噂や視線だけでも胃が痛いのにさらに痛くなってしまう。

 それに、3人がここにいる理由が聞きたいな。碧はいつも待ってくれているからわかるけど、火憐と零はわからない。


「言い合いをしている理由はわかったんだがどうして皆ここにいるんだ? 」


「私はいつも通り村雨くんを待っていただけよ」


「うーん…そうだね。私は別に用があったわけじゃないんだけどさ、たまには響也の教室に行ってみるのも悪くないかなって」


「私も…特に…用事があったわけじゃない…。会いたかったから…来た…」


 なるほど…碧は俺の思っていたとおりだったが、他の2人は別に何か用があって来たわけじゃないのか。それだと困るんだよな。だって、何をしたらいいのかわからないからね。


 することって言ったら後は家に帰るぐらいのことしかないよ。でもそれだと零だけ家が逆方向だし、可哀想なんだよな。本当にどうしたものかな?


「そんな顔してどうしたのかしら村雨くん? 」


「皆と一緒に家に帰ろうと思ったんだけどさ、零だけ家の方向が逆だからさどうしようかなって思って」


「へぇ〜てことは家知ってるんだ響也? 」


 あっ…見事に地雷を踏み抜いてしまったようだ。


「まぁ…それを言うなら私も響也の家知ってるからいいんだけどね」


「あなただけじゃないわ。ちゃんと私も知っているわよ。なんなら脳裏にとても焼き付けたわ」


「じゃあ…響也の…家に…行こう…」


「「「は…?」」」


 と俺達3人の声が教室に響いた。


「いや…さすがに無理だよ。もう6時近いし、親御さん達に迷惑をかけるのも悪いからね」


「そうだよ響也の言う通りだよ。確かに私だって行きたいけど無理を言っちゃいけないよ」


「ええ、あなたの考えと一緒なのは癪だけど私もそう思うわ」


 そう言われた零は表情は変わらないものの頬を膨らませている。背が小さいのも相まって小学生にしか見えない。


「じゃあ俺が1人で帰るってのはどうかな? そうすればみんな平等だし」


「そうするのは嫌だけどこのままじゃ埒が明かなさそうだし、村雨くんの言う通りにしましょ」


「仕方ないね。今日のところは勘弁してあげよう」


「そうだね…そうする…」


 そうして3人の意見もまとまったので、俺は先に帰ることにした。3人には悪いことをしてしまったけど、これも仲良くしてもらうためだ。


 集中してそんなことを考えている俺は全く気づかなかった。――俺の背後からついてきている3


 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 昨日投稿できずにすみませんでした。書いてはいたんですけどね。まぁ、途中までですけど。

 次で30話らしいですね。無事にここまで来れましたよ。ほんと良かった良かった。

 そろそろ本格的な改稿作業に入りたいんですけどね新しい話が書きたくなってしまいます。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺にはヒロインが多すぎる! ニンジン @yuito2623

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ