第28話 恋する乙女共

 俺は顔が赤くなっていくのを感じた。

 それもそのはずだ。だって、急に零に告白まがいのことをされたんだ。顔も赤くなるだろ。


 というかやばくないか? ここ最近で3人に告白されているわけだけど…。正直に言うと俺の何がいいのか俺自身もわかっていないんだが? それでも俺のことを好きになってくれたんだ男の俺が応えないでどうするって言うんだ。


 それに、俺はなんのために中間テストを頑張ってきたんだ? 彼女達に釣り合う男になるためだろ。だったら、何故俺のことが好きなのかを気にするよりも、もっと釣り合う男になれるように頑張るべきじゃないのか? そう、俺は頑張るべきなんだ。


「なんか言ってあげなよ響也。そんな真剣な顔で考えてないでさ」


 火憐のその言葉で俺は我に返ることができた。


「ああ…ごめん」


「私じゃないでしょ」


「そうだったな…。ごめんな零…今の俺は零の気持ちに応えることができないんだ。既にわかっているかもしれないけどここにいる火憐。それに、この前俺のいる教室で零と言い合いをしていた碧にも同じく告白されているんだ。告白してくれたことは嬉しいんだ…。ただ…俺は今の自分に自信がない。そんな状態で誰かと付き合うなんて俺はしたくない。だから、俺が自分に自信を持てるようになったその時に決めるよ…。それが男としての俺の気持ちだよ。火憐もそれでいいよね? 」


「それが…響也の…答えなら…それでいいよ…。けど…私は…響也に…私だけを見てほしい…。だから…わたしも…頑張る…!! 」


「そう! その意気込みが大事なの。いいよとても面白くなってきたよ。私の相手として不足なし。まあ、それでも1番は私なんだけどね。だって響也のファーストキスをもらったのは私なんだから」


「は…?」


 火憐が余計なことを言ってまた少し険悪な雰囲気になろうとしているけどとりあえずのところは自分の気持ちを整理できたので良かった。これで俺の思いに踏ん切りがついたし、より一層がんばろう。それとこのことを碧にも伝えとかないといけないな。


 てか、さりげなく流そうとしたけど火憐は何言ってくれてんの? ファーストキスってまるで俺がキスをしたことないみたいじゃないか。まあ、その通りなんだけどさ。その通りなのが少し癪だが、零の前で言う必要あったかな?


 これあれだよね? 恋のライバルだってわかったからわかりやすく喧嘩売ってるよね?


「響也…この女が…言ってることは…本当…?」


「……」


 またしても俺は零に言い返すことができなかった。だってキスしたよなんて言うの恥ずかしいに決まってるでしょ。


「そっか…そうなんだ…」


 どうやら零は俺が否定もせず黙ったままだったので肯定だと捉えたようだ顔がとても悲しそうにしている。キスをしたのはその通りなんだけど、なんか心苦しい。

 火憐は勝ち誇ったようにニヤニヤしてるし、早くこの時間が終わってほしい。罪悪感と恥ずかしさで消えてしまいそうだ…。


 そんな俺の声が届いたかのように昼休み終了の5分前を告げるチャイムが鳴った。


「チャイムも鳴ったし、俺はそろそろ教室に戻るよ」


「まだまだ勝ち誇りたかったけど、時間なら仕方がないね」


「私も…戻る…あと…絶対に負けない…」


「ふん。せいぜい足掻くといいよ」


 そうして、俺達はそれぞれの教室へと向かって行った。 




 ◇




 それからは何事もないようにとはいかなかったけれど、一応放課後までは乗り切った。 

 なんだかここ最近で一番疲れた気がする。人の視線というものはこんなにも気になってしまうものなのだと思ってしまった。


 やっぱりこんな俺が高校デビューなんてしなくて良かった。なんだかんだ言って今の生活は十分に楽しめているし、高校デビューなんて考えなくても良かったかもしれないな。


 そんな事を考えていたのだが、今日の疲れからか碧と友だちになった日以来の放課後に寝るということをしてしまった。しょうがないよね…。あんな視線とか慣れてないんだもん。疲れるのも当たり前だよ。




 ◇




 俺が寝てから暫く経ったのだろう。クラスの連中の声は聞こえてこなくなったのだが、聞き覚えのある声が3つもある。そうだね…碧、火憐、零の3人だね。何やら言い合いをしているらしい。

 俺には上手く聞こえてこないが、相当な修羅場であることは理解できた。


 ああ…早く帰りたい。そう願うけれど、それは叶わないだろう。帰るためにはまず起きないといけない。そして、起きたらバレる。その後は絶対になんやかんやがあるに決まっている。


 俺にはもったいないことだとわかっているけれど、俺は起きるのが億劫で仕方ない。しかし、俺が起きなければ何も始まらないのも事実だ。


 そうして俺は腹をくくり起き上がった。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 5600PV感謝です。中々投稿できなかったですけど、読んでくださった方には感謝しかありません。三連休も終わったことですし、投稿頻度も上がるかもしれません。

 あと4人目のヒロインが出るのはあともう少しぐらい先です

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです













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