第27話 噂の君と屋上で

 やばいな全くもって落ち着かない。まだ3限目で昼休み前だというのに、まだまだ俺への視線を感じる。さっさと終わって欲しい。早くここから抜け出して、屋上へ行きたい。

 俺はそんなことを考えるばかりだった。




 ◇




 授業の終わりを告げるチャイムが鳴る

 ふぅ…とりあえず俺はこの地獄とも呼べる時間を乗り切ったようだ。これから昼休みが始まる。


 早く屋上に行かないとまた面倒なことになりそうだったので、俺は昼食を持ち、これでもかというスピードで教室を出た。


 急いだおかげもあってか誰にも会うこともなく、俺は屋上へと着いた。


 屋上に着いて真っ先に目に入ったのは銀色の肩までの長さの髪。銀河のような瞳。色白な肌。身長は小学生と見間違えるほど小さく、それに比例して胸も小さい女の子である水島零だった。


 どうやら前にした約束を覚えていたらしい。俺と同じで教室をすぐに出たのだろう。そうでも無いと俺より早く着くなんて芸当ができるはずがない。


「久しぶり響也…ところで…あの噂は本当…?」


 あの噂というのはきっと火憐との噂のことだろうな。どうやら零の耳に入るほど広まっているらしい。噂というものはとても恐ろしいものだと改めて理解した。


「本当も何も零だって俺と火憐の関係はきっているだろ? やましいことなんて何も無いよ」


「本当…? 」


「ああ、本当だよ。零に誓って俺は嘘をつかない」


「わかった…信じる…」


 俺と零の会話が終わるのを待っていたのか、会話が終わった瞬間に火憐がやってきた。


 今日、初めて会う火憐の顔には生気を感じられなかった。

 やっぱり俺よりも大変だったんだな…。


「響也〜つがれだよぉ〜」


 そう言った火憐は俺に抱きついてきた。


「やっぱり疲れたあとはこうして響也に抱きつくのが一番だよね〜」


「私も…疲れた…だから…抱きつく」


 そして、火憐に対抗するかのように零も抱きついてきた。

 別に抱きつかれることは嫌じゃないし、なんなら嬉しいことなんだけどね俺は昼食を食べに来たのであって抱きつかれに来たわけじゃないんだ。

 というか相変わらず火憐の胸の主張がすごい。俺の腕が吸い込まれていく。それに比べて零のはこう…なんというか慎ましやかでいいね…。安心できるよ。


 いや別に胸で判断してるとかじゃないよ? 俺がそんなやつに見えますか? いや見えるよね。こんなこと思ってるんだからね。


 でも、本当に違うからね。俺は女の子を胸で判断するような人じゃないよ。

 ってなんで俺は弁明なんてしてるんだ? それよりも先に2人に離れてもらう必要があるだろ。


「2人ともさすがに昼食が取れないから離れて欲しいんだけどだめかな? 」


「そうだった! ここには昼食を食べに来てるんだもんね。ごめんね響也」


「それなら…私も…悪かった…ごめん…」


「それはわかったんだけどさ…。なんで水島さんがいるのかな? 私と2人だけの約束だったよね? 」  


「そんなの…あなたには…関係ない…。私も…響也と一緒に…食べたいから…ここにいる…」


 このままじゃやばい…また修羅場が始まってしまう。さすがにそれは避けないといけない。それに、俺にはちゃんとした目的があるんだ。


「2人とも落ち着いてくれよ。そんなんじゃ美味しい昼食も不味くなっちゃうだろ」


「それもそうね。あんたの事は気に食わないけど、少しぐらいなら認めてあげてもいいよ」


「それは…こっちの…セリフ…」


 うーん? これは丸く収まったと考えてもいいのだろうか? 分からないけれどまぁこれでいいだろう。


「あとゴメンな…俺のせいで火憐に迷惑かけて。火憐も大変だっただろう? 」


「別に響也のせいじゃないよ。元はと言えば、私が言い出したことなんだし。気にする事はないよ」


「2人は…どんな…関係なの…?」


「あれ? 言ってなかったっけ? 俺達は幼馴染だよ」


「そうなんだ…。それにしては…近い…気がする…」


「そ、そうかな? 」


「そう…だから…私も…もっと…近づく…」


「ねぇ、あんた。さっきから話を聞いてるけど、あんたはさ響也のことどう思ってるの? そうやって突っかかってくるくらいなんだし、何かあるんでしょ? 私は知っての通り、響也をとても愛しているよ。もちろん女としてね」


 いや…なんてこと言ってんだよ火憐。零前だぞ。何回言われても嬉しいけどさ…。ここでは違うんじゃないかな? さっきただの幼馴染って言ったばかりなのに、もうそれが破綻しちゃったよ。

 そんなことを聞いたばかりなのに相変わらず零は何1つ表情が変わらないな。


「私も…好き…」


「それは友達としてなの? 」


「違う…1人の女として…」


「あっそ」


 え…? 今、さりげなく好きって言われたってことだよね? いや…なんで? 本当になんでだ? 皆目見当もつかないぞ。


 そうして俺は急な零の告白に何も言い返せずにいた。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 皆さんお待たせして申し訳ありません。この3連休は色々遊ぶ予定が入ってて中々書く時間もなく、更新ができませんでした。とりあえず何とか仕上がったので本日は投稿します。

 あと急いで書いたので、もしかしたら内容結構変えるかもしれません。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る