幸福ハウジングへ、ようこそ。

@kanikama_letter

第1話 はじまり

ピンクに白。赤に青。


煌びやかなネオンが揺れる街中で、僕も揺れる。


比喩って訳じゃなく。


フラフラと、道行く人の肩や腕、腰や足にぶつかりながら。


「おいっ!どこ見て歩いとんのじゃぁ?ボケェ!」


「目ぇついとんのか、われぇっ?!いてこますぞっ!」


もう、どうでもよかった。


いや、丁度よかった。


『好きにして下さい、もしよろしければ。』


それが僕の最期の言葉〝だった”であろう。


怒りを逆撫でした僕は、元の原型も分からないほど、ボコボコにされてしまった。


「な、なぁ.,.こいつ、どうする...?」


暴漢の内の1人が、少し怯えた様子で、もう1人に尋ねる。


「しししし知らねえよっ!どうって、、死んじまってんだろ、これっ!」


ははっ...死んでんのか。


段々と目が霞んできて、何も視えなくなる。


まぁ、いいや、『あいつ』の居ない世界なんて。


遅くなってごめん。今、向かってるところ。


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