瑠衣 side ② 後編
瑠衣 side ② 後編
先輩とのオンラインゲームを終えた私のスマホが、結花からの着信を告げてきた。
まぁ、十中八九。七瀬先輩絡みのことだろうと思うかな。
とりあえず結花にも話しておこうと思ってたから、個人的には好都合な電話だと言えるね。
数コールの後、私は結花からの電話に応答した。
「こんぱんは、結花。どうしたの、こんな時間に?」
『こんばんは、瑠衣ちゃん。頭のいい瑠衣ちゃんなら、私がなんで電話したかわかるんじゃない?』
ははは。煽られてる。
七瀬先輩絡みの一件を相当根に持ってるみたいね。
私はそんなことを思いながらも、すっとぼけて質問には答えないことにした。
「いや。私も勉強は出来るけど超能力者じゃないからね。結花の考えてることなんかわかんないよ?」
『はぁ……もぅ瑠衣ちゃん……』
結花は小さくため息をついたあと、私に言葉を続けた。
『七瀬美琴について瑠衣ちゃんが知ってることを教えてよ。向こうには私の話をしてるんでしょ?不公平だよ』
「そうだね。確かに向こうには結花の名前だけは教えてるよ?」
『嘘。だってあの人は私とお兄ちゃんが『義理の兄妹』だってことを知ってたんだよ?瑠衣ちゃんが……』
「他言するわけないでしょ。私と結花の約束事だよ」
結花の言葉を遮るように、私は言葉を重ねた。
私と結花は親友だ。それを売るような真似なんてしない。
あの先輩が自分で真実に辿り着いただけよ。
その確認をされたから答えただけ。
「私が七瀬先輩に話したのは『結花は祐也先輩を異性として好き』って話と『祐也先輩と仲良くなりたければ、結花に話を通しておいて』って話の二点だよ」
『…………そうだったんだね。ごめんね。瑠衣ちゃんを疑って』
「まぁ、結花の『情報』を話したのは間違いじゃないからね。私からも結花に電話はしようと思ってたんだよね」
私はそう言ったあと、結花に七瀬先輩の事を話していった。
「名前は七瀬美琴。私と結花が目指してる海皇高校の二年生。祐也先輩のクラスメイトで同じ学級委員をしてる間柄」
『……はぁ。それは知ってる。容姿とか教えてくれる?』
容姿……容姿はめちゃくちゃ『美人』って評価だよね。長い黒髪が良く似合う本当に美人で『学園の聖女様』なんで言葉は『見た目だけなら正解』だと思ってる。
「容姿は会えばめちゃくちゃびっくりするよ。とんでもないレベルの美人だからね」
『……ふーん。瑠衣ちゃんがそこまで言うなんて相当だね』
「学園の聖女様。なんて二つ名があるみたい。まぁ『見た目だけならピッタリ』な二つ名だと思うかな?」
『あはは!!そんな二つ名があるんだ。揶揄うネタが出来たよ』
まぁあの人の『性格の悪さ』を知ったらとてもじゃないけど『聖女様』なんて言えないよね。
「明日七瀬先輩と会って話をするんでしょ?」
『うん。そうだよ。お兄ちゃんにお願いして、機会を作って貰った。場所は瑠衣ちゃんの実家だね』
「まぁ、あんまり言っても意味無いとは思うけど、喧嘩はしないでね?お店は営業してるんだからさ」
『あはは。それは向こう次第かな?』
そして、会話を終えた私は結花との電話を終わらせることにした。
「それじゃあ結花。私はそろそろ寝るよ」
『うん。私ももう寝ようかな』
「おやすみ、結花」
『おやすみ、瑠衣ちゃん』
通話終了のボタンをタップして、私は電話を終わらせた。
「…………さて。もう寝ようかな」
時刻はもう二十二時。寝不足は肌荒れの原因だし、祐也先輩には綺麗な姿を見ててもらいたい。
ただでさえライバルの七瀬先輩や結花は『見た目がすごく良い』んだから。
スマホを充電器に刺して、私は部屋の明かりを落とした。
「おやすみなさい」
ゆっくりを目を閉じて、私は眠りについた。
陰キャでコミュ障な俺が、クラスで一番綺麗な女の子を振り向かせるまで。 味のないお茶 @ajinonaiotya
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