第2話

すると、友人たちはボクを取り囲んで

逆さにし、ズボンのポケットを

まさぐり始めた。

「ホントだ、コイツ十円しか持ってないや」

友人はそれだけ言い残すと

雲から消えた。

ボクはホッとした。

また、釣り三昧の生活に戻れると

思ったからだ。

「あら―っ、店の支払いまだだったわよ」

そのとき馴染みのホステスが顔を見せた。

「勘弁してくれ、十円しかもってないんだ」

「仕方ないわねえ。それじゃあ、わたしが

立て替えといてあげる」

「すまん」

「釣り、楽しい?」

「ああ、とっても。キミもやってみる?」

「ほんと?」

というわけで、客とホステスの禁断の恋が始まったのでした。

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雲の上のボクだけの浮遊生活。人間の愚行を眺めながら釣りをする。この快感に勝るものなし! @k0905f0905

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