5. It’s like shaved ice.
第34話
あの日を境に、俺は心の置き場を忘れてしまったかのような心地で日々を過ごすようになった。
仕事ではミスが増え、上手くいかなくなっていった。
真面目に仕事をこなすことが俺の数少ないアピールポイントであり、唯一のアイデンティティだったはずなのに、と自分を責め立てることが増えてきた。
心の中の出来事は次第に身体にも影響を及ぼし、体調も崩すようになった。
普段はブラックな企業だが、あまりにも俺が目も当てられない状態だったからなのか、俺のことを案じてくれた上司が、仕事を調整することで休職する余裕を作ってくれた。
とはいえ、休みをもらっても何もする気が湧かなくなってしまった俺は、ただ時間を無駄に過ごすだけだろうと、そう思っていた。
俺に何も予定がない事を察したのか、相変わらずウチに居座っている兄の悠也に外に放り出された。
『駅前のカフェに行ってこい! 絶対あそこ、な!』と何故か分からないが、やけに念を押されたので渋々言う通りにした。
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