第31話

 それから、鏡に覆われた部屋で舞菜が無限に増殖したり、光の花びらが散る部屋で舞菜が踊ったり、様々なスポットで舞菜は大いにはしゃぎ、写真を撮りまくり、かなりお疲れのようだった。

 

 そうして最後にやってきたのは、光で川の流れを表現したスポットだった。

 水流の勢いも変わりながら、何気ない風景のようでも、水が流れる音も相まって、心が洗われるような心地よく感じた。


 いままではしゃいでいた舞菜はやけに落ち着いた雰囲気で、何か考え事をしているように見えた。まあ、こっちが普段の舞菜のテンションなのだが………………。


 俺はそのテンションが上下する幅が大きすぎてどうなってるのか毎度疑問で仕方がないのだが………………。


 それはいいとして、俺は舞菜に話を聞こうとする。何かを憂んでいるような、流石に聞かずにはいられないほどの様子を見せていたからだ。


「どうしたんだ? 何か考え事か?」

「ああ、ううん。別に、そういうことじゃなくてね」


 舞菜はやけにそっけない態度を取った。何か隠そうとしているのかと思えば、舞菜は口を開いた。


「私のも溶けてこうなってるのかなって思っただけ」

「え……?」


 俺はその言葉に黙ってしまう。言おうとしていることを何となく理解するには少し時間を要した。


「なんでもない」


 その時間のうちに、舞菜はそう言って俺に笑いかけ、出口に向かって歩いていった。

 その後ろ姿を、俺は見ている事しかできなかった。


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