第24話
夢を見ていた。
懐かしい夢だ。
私はクラスでおそろいのTシャツを着て、教室の扉の前にいる。
服装から推察するに、文化祭の当日のようだ。
高校の生徒のみならず、保護者や中学生、他校の生徒たちで、学校が埋め尽くされている。
話を戻すが、私が今いる教室と言っても自分のクラスである一年三組の前ではなかった。一年七組の前だった。その理由は………………。
教室の中から彼が出てくる。
私は好意を寄せている彼に文化祭を一緒に回ろうと勇気を出して伝えたんだった。
彼は二つ返事で私と一緒に回ってくれることになったことを思い出した。
「×××待った?」
「い、いや、今来たところ…………だよ」
デートの待ち合わせのような文言が私の口から生まれたことに少々驚いた。
しかし、それ以上に彼と二人だというところにとてつもなく緊張して、私の心臓の鼓動が彼に聞こえないか心配になるほどになっていた。
「そっか。それじゃ行こうか」
私と彼は二人で歩きだした。
一年のフロアから二年、三年とそれぞれのフロアを巡る。
フロアを回る間に私たちはクラスのTシャツの色や柄も変化していく。その変化はまるで私たちが校内を回りながら学年が上がっているようだなと感じる。
この二人だけの幸せな時間の中、彼からもたくさん私に話しかけてくれる。
「×××のアトラクションが凄い×××って聞いたんだよね」
「あ××のクラスの××焼きマジ美味い×だって。行ってみよう×」
「いや~、あ××であんな××かされるなん×思ってなかっ×よ。そん×に気にする必要ない××らね」
「あそこに××がいて、話し×××と何か××ものをくれるらしいって聞いた×××、行××みない?」
「××××ころに撮影スポットがあるなんて知らな×××よ。と×うか、あれが×××映え××××なの? 俺に×な××××難し××」
「こ×××スのお化××敷怖かっ××」
「××の抹茶××ス美味し×××い×」
「ほ××××楽し××た!×」
「×××××××××××××××」
彼のことを隣で見ていて、とても××そうで、笑顔が××××していたように見えた。二人でいる時間はとても××感じて、とても××だった。
そして、彼との関係をもっと××たいと感じた。
ただ、そのための言葉は心の中で言えても、夢の中では言えない。
何度も悠悟くんに愛を伝えようとした。ただ、それは届かなかった。いや、届けられなかった。
私にはどうにもできないことだから、今は諦めることにした。
そしてその後、私は彼と………………あれ? 何をしたんだっけ?
私が今まで見ていた夢は、いつのまにか砂嵐に代わっていた
私は確かに、さっきまで夢を見ていたのに………………。
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