第4話 生かすと決めたからには責任がある①


     〜勇者の住む村付近〜


 ビータスの根城から再び村付近に戻り、勇者の住む村の入り口へ変装をして向かう。

 

 「変装ディッシムラーレ。...人間体は久しぶりに使うな。...まぁ、これで村に入れるだろう。あまりにも遅い時間だと入れない可能性がある...急ぐか。」


 人間体となった私はそのまま村の門へと向かった。





      〜勇者の村・門前〜


 「止まれ‼︎....あんた....何用でこの村に寄ったんだ。服装からして旧貴族だろ?」


 「....いいえ....私は旅人です。ある恩を返すためにこの村へ来ました。(失敗した。このレベルの服装でも上級国民に見えるか。)」


 「....恩?誰にだ?」


 「この村は、アニモさんの住む村で間違いありませんか?私はアニモさんとその家族へ、お礼をしに来ました。」


 「....あぁ....その....そうか。....あんた、旅人なら知らないよな。....アニモは死んじまったんだ。」


 「....そうですか。....お悔やみ申し上げます。....う〜ん...でしたら、ご家族の方に会えませんかね?」


 「....ちょっと待ってくれよ。案内人を用意するから。お?あそこにいるのは....おーーい、ミコスゥゥ、手が空いてるかぁぁ?」


 村の門の近くで話をしている集団から1人抜けて門へ歩いてきた。


 「....なんだよビカノ、そんなに大きな声を出さなくても聞こえるぞ。何のようだ?」


 「この人を、モルの家まで案内してもらえるか?モルに用があるらしい。」


 「モルに?あんた、誰だ?」


 「あぁ、私は..。」


 「大丈夫だ、ミコス。俺が話を聞いた。本当はアニモに用があったみたいなんだ。死んだことを知らなかったそうだ。」


 「そうなのか?悪いな、戦争が終わったばかりで、気を張り詰めていたのが治らなくてな。」


 「問題ありません。私は旅人として、色々な村、街を見てきましたが、戦争のせいで気を張り詰めている方は多くいましたから。」


 「どこもそうなっているのか....。すまないな、アニモの家へ案内するぜ。じゃ、ビカノ、俺はこの人を連れて行くから。門番の交代する時は、あそこの集団から選んでくれ。あいつら、暇人ばかりいるからな。」


 「一応、狩には出てるんだから暇人ではないさ。頼んだぞミコス、あんたもまたな。」


 


      〜勇者の村・中央〜


 「もうすぐアニモの家に着くぜ。」


 「先程、モルさんと名前が出ていましたが、アニマさんとの間柄は...。」


 「あぁ、モルはアニモの妻だ。すごい美人でな。不謹慎だと思うが、アニモ亡き今モルを狙う男も村にはいる。そんなことをすれば村から追い出されることを分かっているから、まだ誰もモルヘ愛を語ることはしないがな。」


 「それ程の妻を持つとは、やはりアニモさんは凄いですね。」


 「そうだな。あいつは村の人気者で1番強い男でもあった。....今でも信じられないぜ、あいつが死んだなんてよ。....よし、着いたぞ。ここがモルの家だ。コンッコンッ。モル?今いるか?」


 「ガチャッ。あら、ミコスさん?私に何か?」


 「俺が用事があって来たんじゃないんだ。この人がモルに用があるらしい。」

 

 「初めまして、チリと申します。」


 「初めまして、モルです。私に用事というのは....。」


 「アニモさんへ、恩を返しに来ました。先程、村の方からアニモさんの話は聞きました。アニモさん亡き今、恩を返すなら、貴女へ返すべきだと思いまして....。」











どうも、作者です。長くなりそうだったので区切りました。全て書くと3000文字を超えそうだったので。更新が遅くなることもありますが、よろしくお願いします。

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魔神の物語〈楽〉(タイトルは変わるかもしれません) 八雲琥珀 @hakurei0429

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