第12話

「俺の知ってる話はこれで終いだよ」


「えー……ちょっと……まだ色々はっきりしないところ、ありますよね? この話知ってる人って、あとは……。お話に出てきた日上さんなんかにも聞きたいことあるなあ」


「死んだよ、とっくに」


 冷たく、棘のある言葉だった。


「じゃあ、他の関係者は……病院、行ってみようかなあ。そうだ、今宿直やってる人って」


「やめろ。俺が話したのがバレないようにする約束だろ?」


「ああ、はいはい! わかってます。大丈夫ですよ。冗談です」


 確かにそういう話だった。


「余計なことはするなよ。まったく話すんじゃなかった」


 消え入るような声でぼそっと呟き、俯いてしまう。


「くれぐれも引っ掻き回すのは止めてくれよ。その、今ここはこれで上手く……はないかもしれないけど、回ってるんだよ。一応。いつかは破綻するかもしれないけど」

                                  



 了

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