夜明けの鳥
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その瞬間 その場に居た探索者 全員は いきなり出現した強大な存在に目を向けた
そのうちの何人かはその存在に見覚えがある様子だった
「あれは....火の...鳥?」
そう 誰かが呟いた 大量の炎を纏い 天へと舞うように飛び立つその存在は正に火の鳥
だが彼らは考える
探索者になりある存在を知らない者はあれほどの強大な炎を出せる存在があそこに居たのだろうかと
その存在を知るそれなりに探索者をやってきた者は まさかそんなわけと口では言いながらもその可能性を心のどこかで信じていた
そしてその存在と親しかった者達は...
「まさか彼奴は...」
宗瑞はやっぱり死んでねぇな と呆れ
「師匠!?」
紫は生きてるのは確信していたがこのタイミングで来るとは思わず動揺
「貴方...様...?」
白は信じられない目で唖然とそう言い
「弟君...弟君!!!」
翠は狂ったように弟君と連呼し
「本当に..帰ってきた...」
黒は彼が帰ってきたことにひたすら安堵していた
「...来てくれてありがとうございます 師匠」
橙は彼に感謝と罪悪感を思っていた
「お兄ちゃん...!!」
空はこの窮地に駆けつけた彼をやはり英雄と認識し いつかはあそこに並び立つと決意
「..お父さん...」
灰は 育て親が生きてることに安心し彼女の乗る聖遺物の中で静かに泣いていた
「...やっぱり○○は来てくれた」
蒼はかつての彼の名を言いながら最初からわかっていたように微笑んでいた
「彼がこのタイミングで復活...同期としてこれ程嬉しいものはありませんね!!」
獣王は同期の復活に素直に喜び
「まったく人様達を散々心配させて!!今度絶対一杯付き合ってもらうからね!!」
皇帝は彼に対し悪態をつきながらもその顔は笑っていた
「色々と心配かけたな...ここからは俺に任せろ」
この瞬間 世界最強の英雄 紅い嵐が帰還した
*********
神月零夜side
彼女は見た 今地球に衝突せんと近づいてくるあの
「あれは...」
その場に居る者 全てが手を止めていた
あの不死鳥の姿に目が釘付けになっていた
彼らは見たことも無いのに理解した
あれが"紅"だと
世界最強の英雄だと
そして歓喜した
かつて死んだはずの英雄が世界の危機に死の先から帰ってきたのだと
「あれが...色付き...紅...」
そして零夜は確信する
あれが私の目指す先だと
そう決心した
*********
「大技1つで吹き飛ばす!!」
『おっしゃ合わせ技で行くぞ!!!』
自身の生命力を魔力に極限まで変換し
相棒へと供給
それをしながら俺の中で魔法陣を構築
これでも俺は色付き
アシュレイやシンシアほどでは無いが魔法はそれなりに上澄みだとは思う 凡人ながらだけどな
だから俺自身を魔法陣の媒体とし常に魔力を供給出来るようにする
俺の無限に近い魔力により魔法陣から炎が出始め 俺の身体に纏う
その炎はどんどん積み重なっていく
それと同時に魔力を供給してる相棒は紅い粒子を纏い続け その色合いはとても濃くなっていく
生命の掃討者はダンジョンマスターでもビビって逃げるような魔力の圧と存在を目にしてもそんなの関係ないとばかりにこちらに近づいてくる
「...行くぞ相棒」
『おうとも!!』
『「【
紅い粒子と紅い炎を纏った不死鳥は己の身を魔法として生命の掃討者へとぶつかる
その瞬間 凄まじい轟音と衝撃とともに白い光で周りは覆われた
「...見事だねぇ...」
周りが白い光で何も見えない状態に陥ってる中 所長はただ1人 紅と生命の掃討者がぶつかる瞬間を見ていた
「...それで、君は何の用だい?」
「おやおや、久しぶりの再会なのですからそんな冷たくならなくても...」
いつの間にか所長の傍に居た鷹の目に対し所長は冷たく言う
「要件を言いな」
「つれないですね..分かりました。一旦彼を...します」
「...あんなに運命に弄ばれた彼を更にやる気かい?」
「必要な事ですので」
「...もし私が止めると言ったら?彼をそれだけの理由でみすみす君に渡す訳にはいかないよ」
所長は自身の持つ武装を構えそう言う
「止めるとなったら貴方の目的は完全に閉ざされることになるでしょう..そして私はそれをする理由はそれだけでは無いですよ。」
そう言った後 鷹の目は彼女に近づき何かを伝える
「...本当だね?」
「ええ」
「...他の色付きからとんでもない殺意を受けるよ?」
「承知の上です。必要なことですから」
「...私は何も言わないよ」
「なら交渉成立ということで」
そう言った鷹の目はいつの間にか所長の目の前から消えていた
「...交渉もクソもないよ 本当にね」
********
紅の技によって生命の掃討者はほぼ全て吹き飛んだ
残った少しの残骸を他の探索者が処理している中
紅は静かに佇んでいた
紅にしては珍しくアーマースーツを脱いでおり素顔を晒している
そんな彼に向かって駆け寄る人物が5人
「お兄ちゃん!!」
「弟君!!」
「貴方様!!」
「お父さん!!」
「○○!!」
空 翠 白 灰 蒼の5人である
そんな彼女らを見た紅は微笑みながら何かを口にしようとし
それより先に蒼が紅に抱きつく
「やっと..会えた.....」
紅が蒼を抱き締めようとしたとき
「がぁっ...!?」
「え....?」
彼の胸を何かが貫いた
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!弟君!!!!?」
翠が悲鳴をあげ 泣き叫ぶ
「カバネ!!!」
彼の名を呼びながら彼に走りよる綾華
しかし彼に触れようとした瞬間に目の前から彼が消える
蒼はさっきまで自分を抱きしめてくれてた存在が消え その場に力を失ったように座り込む
「感動の再会の所に水を差すようで申し訳ありませんが...彼は一旦貰っていきますよ」
その声の主 そしてカバネの胸を貫いたのは...
「申し遅れました 私 鷹の目と申します」
彼らから少し離れた場所
その空中にて立つように鷹の目は存在していた 気を失った紅を近くに浮かべながら
「お前ぇぇぇぇぇぇ!!」
激情した紫が鷹の目に迫るも鷹の目は目の前から消え 少し離れた場所に出現する
「皆様には申し訳ありませんがそういう事ですので」
「ふざけるな!!!」
いつもの口調が崩れ殺意に塗れた橙が鷹の目に肉薄する
そして鷹の目の背後にいきなり現れた黒が鷹の目の首を刈り取らんと迫るが
「それでは皆さん さようなら」
鷹の目はそう言い どこかへと消えた
「くそ...くそ...!!」
カイゼルはやり場のない拳を地面に叩きつけ
さっきまで勝利と再会の喜びに溢れていたその場は重く苦しい 悲しい雰囲気に包まれた
あの渡り鳥の行方を知るものは誰もいない
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3章完です 次の話は配信者のお話です
ノートにこの先の執筆方針?みたいなのあるので見たい方はご覧下さい 本編が大幅に変わるとかではありません
やっていたゲームの世界の本編開始三十年前に生まれたんだが ダイナマイト山田 @dynamiteyamada
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