迎撃前
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「...所長」
橙は所長に話しかける
「ああ...彼はまだ来ない」
ピリピリとした雰囲気の中 所長は橙に対してそう答える
「迎撃開始まで残り1時間です...どうしますか?」
「...とりあえず皆を迎撃予定地点に集合させてくれ 」
「承知しました」
「...あれが今回の目標」
蒼は空を見上げ、そう呟く
定期的に隕石を降らせながら帝国に迫る
その隕石は金級探索者と金剛級探索者が対応はしている
生命の掃討者の降らせる隕石は一つ一つがとてつもない硬さを持ち大気圏より外から降ってくる為 高速かつ摩擦による炎も纏っている
故に対処は金級レベル以上でないといけない
その為 迎撃地点に集められたのは色付きと色付きレベルの実力を持つ者だけ
紅を除いた色付き全員に
所長、宗瑞、皇帝、獣王
が集まっていた
「過去の存在と戦えるなんて滅多にねぇからなぁ!!それも隕石と来た!楽しみだぜ...!!」
空を見上げながらワクワクと子供のようになっている宗瑞
「あのさぁ...一応 僕の治めてる国だからね?頼むよ?」
呆れた様子でそう言う少年...の姿をした皇帝
「相変わらずだね君達は...私もやるべきことをやらなければいけないね
腕をゴキゴキ鳴らしながら回しそう言う獣王
ちなみに獣王は一般的に獣の王の印象が強い獅子とかではなく兎の獣人である
「今回君たちに集まってもらったのは説明を受けたから分かると思うが...今も尚こちらに向かってきているあの小惑星だ。」
迎撃要員が集まったことを確認し説明を始める所長
「あれは太古の時代に恐竜を絶滅させた生命の掃討者と同一の存在と確認した。あれをどうにかしなければ人類はおろかこの世界自体が破滅に向かうだろう。」
「故にこの場に集まってもらった。私も切り札を準備はしているが間に合うか怪しい。切り札が間に合えば君達には別の役目を渡す予定だ」
「なんだと?!じゃあ切り札間に合ったらあれと戦えねぇのか...」
「...後で仮想空間でシュミレーション作ってあげるから我慢してくれ」
「えぇー...あれかよぉ...」
「人類存続の危機というのにこの男は....私達も準備をしましょう...彼の行いを無駄にしないため...」
宗瑞に呆れながらも表情を変えずに憂いげにそう言う灰
「...弟君は...来るのかしら」
不安そうな表情をしながらそう呟く翠
「...師匠がいねぇ今 俺達がやるしかない」
決意を固める紫
「...私達が守らなければいけない 全力で」
静かにそう言う黒
「ええ、私達がここで...彼が守ってきた世界を守らなければいけません」
真剣な表情で皆にそう言い聞かせる白
「お兄ちゃんが帰って来れる場所を守らないとね」
空を見上げながら昔の記憶を懐かしみながら空はそう言う
「...彼はきっと来る。でも私達も戦う。あの時のような悲劇は絶対に起こさない...!!」
過去に起きてしまった悲劇を思い出し表情を歪ませながら力強く宣言する蒼
「...迎撃時間まで残り5分程度 皆 準備して」
所長のその言葉と同時に皆が己の持つ聖遺物 天啓シリーズを取り出し装備する
『先陣は私が行きます。』
天啓シリーズに乗った灰がそう言うと
「えぇー!?俺に行かせてくれよー!」
『私が表面の硬質化している部分を削りますので貴方はその後にぶった切ってください』
「はぁ...しゃーねぇなぁ...」
「私の見立てだと宗瑞でもあれを真っ二つに斬るのはかなり厳しい。あの二人の初撃が終わったら蒼君があれの纏う炎を氷で相殺、翠君が防衛兼足場作り、空君と黒君は初撃の影響で落ちてくる落下物の対処を頼みたい」
「了解」
「分かったわ」
「はーい」
「...了解した」
「橙君と白君は落下物から防衛地点と他の探索者を守ってくれ」
「承知しました」
「はい、お任せを」
「紫君 皇帝 獣王は翠君の作った足場を用いてあれを迎撃してくれ。」
「分かった」
「皇帝であるこの僕に命令とは...今回は自体が自体だから仕方ないけどね」
「任せてくれ、全力で迎え撃つとするよ」
役割りの割り振りを終えた後に所長はこう言う
「そして私の切り札だが...仮に間に合った場合 初撃はそれに任せることになる。」
それに対し皆の反応はやはり疑惑の目
先程から切り札について一切話さなかったのもあるが紅を除けば随一の超火力を持つ灰と宗瑞を超える切り札の正体が不明だからである
「仮に間に合ったとして...その切り札とやらは俺とあいつを超えられんのか?」
宗瑞が疑わしそうに聞くも所長は
「ああ、必ず超える」
その真っ直ぐな眼差しを見た宗瑞は...
「...どうやら本当らしいが...検討がつかねぇな」
それを真実と判断し、余計に困惑した
「大丈夫、すぐにわかるさ...」
所長はとある紅い英雄を思い浮かべながらそう言った
**********
生命の掃討者を迎え撃つべく集まった世界でも上澄みレベルの強さを持つ強者達
その強者達は本来相対することの無い英霊という存在に手こずっていた
『まさかここまでの規模とは...」
「ひやっほぉ!!こりゃ斬りがいがあるぜ!!」
初撃である灰と宗瑞の一撃は生命の相当者の表面を削っただけに収まり
時点で放たれた蒼の魔法
それらは生命の掃討者が落とす隕石を凍らせ その身に纏う炎を凍らせる
それは本来なら内部にも浸透していく...はずなのだが
「...魔法の効き目が悪い」
蒼がそう呟いた時 その傍を何かが通り過ぎる
「ぶっ飛べぇぇぇ!!!!」
先程の穏やかな雰囲気はどこへやら
その身に纏うのは濃厚な獣の雰囲気
目は赤く染まり 表情は殺意に満ちている
人類の力では到底届かないような超人じみた跳躍力を披露した獣王は生命の掃討者へ肉薄し 純粋な力で殴る
その一撃は小惑星である生命の掃討者を押し返すが生命の掃討者の進行先は変わらない
「相変わらず馬鹿力だね 君は!!」
そう言いながら皇帝は獣王の一撃によって削れた場所に向けて自身が作成したライフル型の兵器をぶっぱなす
「聖遺物ではあのクソメガネに負けるけどこっちは僕の方が上さ!!【超高圧粒子砲】!!!」
青い粒子を撒き散らしながらとてもそのサイズからは出ると思えない太さのエネルギー砲が放たれる
それは生命の掃討者を貫くには至らないがその身体を大きく削ることに成功した
「ちっ、これでも貫けないのか!!」
皇帝がそう悪態をついてる頃...地上では
「相変わらず彼の兵器は凄まじいねぇ...同じ研究者として尊敬に値するよ」
上を見あげながら博士はそう呟く
「...相変わらずみたいだな」
その隣にある人物が現れる
「おや...ようやくかい」
博士は待ちくたびれたようにそう言う
「ああ...色々ケリをつけてきた」
「なら行くといい、今頃 彼ら彼女らはかの英霊の硬さに手こずってるだろうからね」
「一撃で潰すから安心しろ」
「これ程頼もしい言葉は無いね。それじゃあ頼むよ。飛び散ったやつとかの後処理は私達がしておくから」
「おうよ」
紅いアーマスーツに紅い槍
燃える炎を身に纏い 彼はかの英霊を討伐しに空へと炎の翼を生やし飛び立った
「今度こそ正真正銘...世界最強の英雄..紅い嵐の帰還だよ」
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