他人と自分
ヨートロー
第1話 人の夢
人の夢を心の中で応援できなくなったのは、自分の夢を応援できなくなったからだ。
人の夢に心の中でケチをつけるのは、自分の夢にケチをつけたからだ。
毒づくのも貶すのも冷めた目で観客気取るのも、自分で自分をダメにしたからだ。
彼はきっと清廉潔白で、自分の夢を真摯に追いかけて来たんだ。
途中であきらめかけたかもしれない。
そして成し遂げた。
俺はそれに心の中で、こう言う。
「すごいですねー、天才様は俺とは造りがちがいますわぁ」
くそだ。
俺は昔からこんな最低な奴だっただろうか。
優しい人になりたかった。
でも今の俺はゴミで、愚図で、そうやって自分を傷つけて自分を慰めている。
口では何とでも言えた。
なるべく優し気に、俺は心の底から君を応援している。
そんなふうに嘯く。
心の中に本音と思いたくないような毒を吐きながら。
いつの間にか薄っぺらな人間になってしまった。
少し前まで抱えていた情熱も、自分ならやれるという根拠のない自信も。
いまはただ、頭の中に靄になって残っているだけだ。
幾つもの言い訳と、幾つものヤル気の材料を並べ立て、あるのは純粋なめんどくさいという自堕落な本音。
好きなものがある。それは俺の心に入ったまま出ていかない。
どれだけ目を背けようと、どれだけ自分を説得しようとも。
それだけが輝く。
人の夢を心の底から応援したい。
傍から見れば馬鹿げたことでも、その人自身が目を輝かせ、満面の笑みを浮かべて語ってくれたならそれを心の底から同意して応援したい。
そうなるためには、自分がそんな人にならなければならない。
夢を見る人に毒を吐き続ける人生は嫌だ。
俺は夢を叶えたい。
他人と自分 ヨートロー @naoki0119
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます