鍵かかる檻から自由の日々へ

久礼千晶紀

鍵かかる檻から自由の日々へ



お医者さま言うこと聞けばいいけれど個性強すぎはみ出すわたし



世の中の雑事を忘れる白い壁望んでなければ鍵かかる檻



スタッフの間にはびこる非常識指摘もむなしい閉鎖病棟



入院レール騒いで列車を止めた日々降りる許しは得られぬままに



少しずつ私を深く癒したい自分を責めない心構えで



カラオケはコロナ禍の中取りやめに自由を乗せて歌ってたのに



イヤホンで一人楽しむ音楽は癒しでもありさびしくもあり



病院の庭に見事な桜の木来年こそは外から見たい



ペンシルの色を選んでぬり絵本いくつになっても心は虹色



自らの病気の理解が進むほど睡眠・くすりは健康要因



様々に出てくる薬の副作用手指の震え止まらぬ憂うつ



YouTubeタロットカード美しく未来を咲かす退院占い



ダイエット制限しづらい病院食歳を重ねてメソッド変える



傾向と対策退院準備にも入試と変わらぬ精神年齢



やっと得た自由の日々の裏側に福祉という名の束縛の糸



退院後自由に決める美容室カラーを選んで羽根伸ばすサロン



若き日に香りたしなむ珈琲党新生活は豆にもこだわる



ストレスは六十四年の積み重ね夢見る眠りで蒸発させたい



フォーションの紅茶を飲めば舌歓喜制限されずに買ったぜいたく



退院後お試し期間終わります新天地へとワクワクしてる




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鍵かかる檻から自由の日々へ 久礼千晶紀 @chiie

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