第6話 そうは姉が卸さない
放課後俺達は問題解決部の部室へと集まっていた
「入部届けも出していただけたことですし、これでお二人とも部員になり、無事廃部は免れたわけですが...」
「そう、じゃあもう今日は私たちは帰っていいかしら?」
この感じ...姉さんはあまり入部に乗り気ではなかったのかもしれない。俺が無理に誘ってしまったみたいなものだしな...
「姉さん、無理に誘う形になってごめん!今からでも...」
「勘違いしないで、別に入部すること自体は問題ないわ」
それってつまり...俺と一緒にいるのが嫌ってことか?まあ大体この時期は姉弟間での距離が広がるものだと相場が決まっているから別に仕方ないんだが
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姉【喜納紅姫視点】
「勘違いしないで、別に入部すること自体は問題ないわ」
そう、入部することは問題ないわ。むしろここでしないと、弟と一緒にいられる時間が減ってしまうもの。それよりもこの部活には私以外に2人も女がいる。下級生の方はまあ実質ノーカンとして...問題はこの女よ、【清音時東花】。いつも周りには笑顔を振りまいているけど、弟に見せるそれは格が違うのよね。姉脳内メモに要注意人物と記されているこの女、どう弟に近づけないか考える必要があるわね
「えぇと...、では改めてこの部活の活動内容ですが、基本的には生徒の悩みなどの解消になります。たまに清掃とかもありますが、まあやりながら少しづつ覚えていきましょう。というわけで早速なのですが...ここに置いてあるものたち、不要物の処分を喜納君........紛らわしいからこれを機に聖志君と呼ぶわね。聖志君と七菜香さんにお願いするわ」
コイツ...早くも一手撃ってきたわね。コイツの危険度を見直す必要がありそうね
「2人?私は?」
「喜納さんは私から少しお話が...」
「紛らわしいから名前で呼ぶんじゃなかったの?」
「...そうでした、紅姫さん」
聖志?見てる?これがこの女の本性よ
「じゃあ、七菜香さん俺達はあっちで」
「おっけー!」
名前呼び....
あの娘も再調査が必要ね
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「で?屋上まで来て私に話って何かしら?」
「....紅姫さんは先日可決された法律についてどのようにお考えで?」
「....どういうこと?」
「聞き方を変えましょう。紅姫さんは聖志君の事をどう思っていますか?」
答える必要はないけど...ここで無関心な感じで行くとこの女は絶対それを見逃さないわ。さてここは...
「どうも何も大事な弟よ。そう、大事なね」
この女が万が一聖志に何か言っても大丈夫なように、好きとは言わず濁しつつ、ここで釘をさしておく。そして来る私のターン!
「そういうあなたは聖志のことどう思っているの?」
「それは...」
さあ来なさい、どんな返答でもそれを捕まえて逃がさないわ
「好きですよ」
は?何言ってんだこいつ。え、いやマジで殺したろか?
「異性としてではなくて人間として」
危ないわ...あと一歩でコイツの満面の笑みをしたこの顔をぶん殴るところだった。言っておくけど、後で好きになったなんて言ってもそうは姉が卸さないから
『今はまだ...ですが』
なんかブツブツ呟いているけど、よかったわ、コイツは弟に気はない。ならばあんまり気にしなくてよさそうね..........って言うとでも思った?聞き逃さないわよ?
「イマナンテ?」
「何でもないです。それじゃあ戻って二人のお手伝いをしましょう」
この女...この女だけは...絶対に...
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ガラガラ
「戻りました」
「おかえりなさい、先輩に....姉さん?」
うわ、なんかめっちゃ機嫌悪そうだ。しかし下手に踏み込んではいけない。とりあえず帰りは姉さんのご機嫌直しで決まりだな
「今どんな感じですか?」
「あらかた片付け終わりましたよ」
「早いですね、流石聖志君です」
「七菜香さんが頑張ってくれたので」
「うちってもしかして凄い!?」
事実、七菜香さんは大分貢献していた。見た目に反さない元気っ子だ
「それなら今日はこれで解散にしましょう」
「帰るわよ、聖志」
帰り道俺が姉さんのご機嫌を取ろうと奮闘したのは言うまでもない
お姉ちゃんが恋愛対象(ヒロイン)だっていいじゃない @poyupin
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