第5話 眼はいい方
今日は美鈴が日直で先に行ったし、姉さんも用事があると言って出て行ったので一人で登校している。学校まで一人だと意外と長く感じるな。そんなことを考えながら校門をくぐると女の子に声をかけられる。
「あ!そこのあんた!ちょっと話いい?」
「え?俺?」
「そう、あんた!」
この子...初めて見る子だ。いったい何の用だろう
「あんた何か部活入ってる?」
「いや、別に...」
「実はうち、問題解決部のぶいんなんだけど、今部員が足りてなくて...」
問題解決部?そういえば清音時先輩がそんな名前の部に所属しているって聞いた気がするが...でもだとすると
「なんで部員が集まらないんだ?清音時先輩がいる部活なら引く手数多だろ?」
「それは...」
「私が説明しましょう」
疑問に思い聞いていると、そこに本人が登場する
「先輩?どうしてここに?」
「実はここにいる子、七菜香さんと部員を探しているところでね。ちょうど喜納君がいるのを見かけてきたの」
「それで、部員が集まらない理由は?」
「それが入部志願者は元々多かったんだけどその多くが...」
「なるほど、先輩目的だったと」
「ええ、そんな気持ちで入られても部活に専念できなくなってしまうだろうし困るのよ」
まあ納得だな。先輩目的で入る奴も多くて当然だ。でも...
「ええと、七菜香さん?なんで俺に声をかけたんだ?」
「うちこう見えても眼は良い方でね。あんたならちゃんと部活に専念してくれると思って声をかけたんだ」
「私としても喜納君が入ってくれると嬉しいわ」
ううん、そういってもなぁ。姉さんにも相談しないとだし...
「そうだ、部員は何人足りないんですか?」
「今が私と七菜香さんの二人、あともう二人は必要ね」
となれば...これはちょうどいいかもしれない
「一人心当たりがあります、そしてその人を入れてもらえないなら俺も入れません」
「まさか、武茶八目郎くんのことかしら?」
「違いますよ、俺の姉、喜納紅姫です」
俺は姉さんにBOINをすると、姉さんからすぐに返事が返ってくる。相変わらず早いな...『すぐ行くから待ってなさい』か
「喜納君のお姉さんは学園でも悪い噂は聞かないし、むしろ品行方正で話が通ってるから問題はないんだけど...」
「問題はないけど何?」
ね、姉さん!?来るの早!てか気配感じなかったんだけど...
「喜納さん!?いや、別に何も...」
「聖志が入るなら私も入るわ、いいわよね?」
「まあ、はい...」
「先輩やりましたね!これで部員がそろいましたよ!」
「七菜香さん、それはそうなんだけど...とりあえず入部の申請をお願いね。時間は放課後で大丈夫よ」
「わかりました」
「決まりね」
俺達は話を終え、校舎に入った
・・・・・・・・・・・・・・・・
姉【喜納紅姫視点】
ん?弟からBOIN?『部活の勧誘を受けているんだけど、人数が足りないらしくて...姉さんもどう?』ね...つまり弟は入るってことよね。なら姉の私が入らない道理はないわ。私は急いで返信をして弟のもとへ向かう
「喜納君のお姉さんは学園でも悪い噂は聞かないし、むしろ品行方正で話が通ってるから問題はないんだけど...」
「問題はないけど何?」
よりにもよってこの女のいる部活なんて、清音時東花どうせこいつも弟に気があるに決まってるわ。私眼はいい方なのよね。まあ弟は渡しませんけど?
「決まりね」
これは『部活仲間としてよろしくね』を意図していったものではない。『あなたは私の敵ってことね』という宣戦布告を込めてのものだった
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