第4話 見た目だけが、料理の全てじゃないのよ
姉【喜納紅姫視点】
なんだか今日は機嫌がいいわね。そうだわ、いつもやってもらってるし、お礼もかねて今日は私が料理を作ってあげましょう。そうと決まれば早速、まず冷蔵庫の中身は...
「姉さん?冷蔵庫見て何してるの?お腹すいてるならすぐに料理作るよ」
「今日は私が作るわ」
「ね、姉さんが!?」
この子、驚いた顔しちゃって...きっと嬉しいのね!そうよね、実の姉が料理を作ってくれて嬉しくない弟がいるわけないもの。腕が鳴るわ
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弟【喜納聖志視点】
「姉さんが...本気で...」
このままでは命の危険すらある。何とかしなければ...そうだ!そういえば近所のおばさんが作りすぎた漬物をおすそ分けしてくれるって言ってたっけ
「姉さん、ちょっと出かけるね」
そう言うと俺は駆けだした
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姉【喜納紅姫視点】
材料を煮込み終わったから、次は...こんなのレシピを見れば余裕よ。うーん、でもなにか足りないのよね...ここは何かを足して...コク...そうだわ、確か味噌とチョコレートがあったわね。これを入れれるだけ入れてしまえば...
1時間後
ま、ざっとこんなものかしら。我ながらいい出来ね。あら、弟も帰ってきたわね丁度いいわ。私はお皿にビーフシチューをのせる。きっとお腹を空かせているから多めにしてあげましょう。ふふっ、喜ぶ顔が目に浮かぶわ。ん?弟が何か取り出して...あれはナス?
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弟【喜納聖志視点】
このナスの漬物だけが俺の救いだ...皿に取り分けて...ん?姉さんの方を見ると、姉さんは所謂ダークマターと言われるようなものを手に持ち、こちらを見ている。しかし俺は知っている。姉さんはナスが嫌いだ。だからここはお互い嫌なものは食べないようにしよう理論でしのぐ作戦だ。あんたは俺が止める!今日ここで!
「姉さん?ナスの漬物をもらってきたんだけど...」
「それ何?まさか食べ物じゃないわよね?」
案の定嫌そうにしているな。よし、いける!
「姉さんがこれを食べないなら俺も姉さんのそれを食べるわけにはいかないな」
「...本気で言ってるの?」
姉さんは卓につくとナスの漬物を睨む。うん、ナスがかわいそうだ。しかし姉さんも流石に食べないだろう
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姉【喜納紅姫視点】
ナスねえ...。このいけ好かない艶やかな色合い、イライラするわ。女と同じよ、着飾っている奴に限って大体ロクな奴じゃないんだから。でも弟には私の料理絶対食べてもらいたいし...。このナス、何笑ってるのよ。あんたごときその気になれば!ええい!
『パクッ、ムキュッムキュッ....』
....あら?案外美味しいものね。これならいけるわ。
「ナスって見た目こそ損してるけど、意外と食べればなんてことないわね。さあ、聖志も私の料理食べなさい、冷めるわよ」
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弟【喜納聖志視点】
マジか...姉さんやりやがった...くそっ、俺の作戦が...ああ、終わったわ。ハハッ
「そんな嬉しそうな顔して、作った甲斐があるわ。さあいっぱい食べて」
このダークマターをいっぱい食べたりなんかしたら、流石の俺も死ぬ...しかしこうなった以上食べるしかない。そう、見た目だけが、料理の全てじゃない!
『パクッつ、モキュモキュ』
.......なんて火力とパワーだよ、コイツは!食感もおかしいし、味は言うまでもなくマズい!こりゃあ、逝くな...
俺がそのまま気を失ったのは言うまでもない
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