マンモス校
転学先は、まさにマンモス校だった。州立大学にはそういう巨大なキャンパスが多いものだが、学生の数も学部の種類も想像を超えるほど多かった。ありとあらゆる専攻が並んでおり、「こんな学部もあるの?」と驚くようなものまで存在している。私は元々心理学を専攻していたが、この大学にはレコーディング技術やロックの歴史といった、私の興味を引くクラスも豊富に提供されていた。そのため、これらのクラスには迷うことなくすぐに登録した。新しい学びの場で新たな可能性に心躍らせる日々が始まったのだった。
私が驚いたのは、寮という名の住居の実態だった。聞いていたのはアパートタイプの寮だが、実際には普通のマリオットホテルであった。このホテルは大学と提携しており、一部を学生寮として、残りを一般の宿泊客に提供している形だった。学生が宿泊するフロアは騒がしいため、多くがホテルの下層階に割り当てられている。一方、一般客の部屋は上階に位置していた。
私たちが共有するアパートでは、異なる文化背景を持つ人々との共同生活が始まった。同期の知り合いとしては、親日派のアメリカ人と一緒に住んでいる。このアメリカ人は「デン」と呼ばれる、普通は物置として使われるような窓のない部屋に住んでいた。友人は寝室を使用し、私はリビングのカウチで眠るという、いささか変わった生活スタイルに合意した。この新しい住環境は、異文化交流の一環として新鮮な刺激を与えてくれるだろう。
前の大学と転学先との間で一番感じた違いは、日本人学生の数の多さだった。個人で留学してきている人も含めると、およそ100人の日本人が在籍していた。平日であろうが週末であろうが、頻繁にパーティーが企画されるのは想定外だった。
私はリビングのカウチで寝ているため、パーティーが終わらない限り眠ることができなかった。時にはその状況がしんどいと感じることもあったが、全額自分で家賃を負担することを考えれば、この状況もまだ許容範囲内だと自分に言い聞かせる。結局、何とかその環境で卒業まで過ごした。
昇らぬ太陽 長谷川 優 @soshita
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