転学
私は最初に入学した大学で3年間を過ごした。1年目はESLのクラスだけだったが、2年目からは正式に専攻のクラスを取り始め、成績はそこそこで推移していた。
そんなある日、珍しく父からファックスが届いた。内容は簡単に「学費が持ちそうにないので、州立への転学を検討してほしい。あと1年分の学費しか捻出できそうにないため、できるだけ早く次を決めるように」というものだった。
「転学先を決める」ように言われても、すぐには決まらない。自分の希望はすぐに決まるが、大学側が転学を受け付けるには時期があるためだ。このファックスに対して「了解」という趣旨で直ぐに返信した。
しかし、冷静になって考えてみると、「了解」と言ったはいいものの、転学には何が必要なのかが皆目見当がつかなかった。同期でも最終的に転学した者は数名いたが、この時期にはまだ誰も転学していなかった。
取り急ぎ、自分が所属する留学団体の大学ネットワーク内で近場の州立を探してみた。それは、バンドを続けたかったからだ。最終的に見つかった州立大学は2校で、一つはメリーランド州、もう一つはバージニア州にあった。どちらも現在の大学からは車で1~1時間半の場所にあった。車があれば、引き続きバンドもできる距離だった。
転学に試験は必要なく、現在までのGPAを示す成績票を提出すればよかった。結果的に両方から合格通知が来たが、メリーランド州立大学の方が学費が安かったため、そこを選んだ。
まずは両親に2校から合格通知を得たことと、学費がほぼ半額になるメリーランドに決めたことを伝える。アパート代はかかるが、ルームシェアのため、電気代や家賃、生活費(食品など)は折半になり、実家の家計状況も大幅に改善した。
秋学期からの入学のため、春学期が終わる5月には寮を出る手続きをしなければならない。転学先での寮の手続きも通常必要だが、幸いにも合同合宿で知り合った同期が通っている大学で、その人のアパートにルームシェアで入居できることが分かった。
寮生活の荷物は多くはない。スーツケース数個程度だ。また、2個上の先輩が、アパート暮らしになるならとIKEAのカウチを譲ってくれた。引っ越し業者を使うと高くつくが、車で移動すればお金はかからない。今回はカウチがあったため、荷物をU-Haulでレンタルしたトラックに積んで、転居先へと向かった。
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