孤呂奈襲来
船越麻央
コロナをぶっ飛ばせ
「殿! 申し上げます! 一大事にござりまする!」
「何事じゃ騒々しい、申してみよ」
「はっ、孤呂奈らしき軍勢が領内に攻め込んで参りました!」
「なんと! 孤呂奈だと? ただちに物見を出してしかと調べよ。急げ!」
「ご注進、ご注進! しかと確認いたしました! 敵は孤呂奈の軍勢に相違ござりませぬ!」
「うーむ、やはり孤呂奈であったか。衰えたと聞いておったが。おのれただちに出陣いたす、兵を集めよ。孤呂奈と合戦じゃ!」
◇ ◇ ◇
「殿! 敵の数が増える一方です! 支えきれませぬ!」
「申し上げます! 領内各地で火の手が上がっております! 孤呂奈の兵が放火しています!」
「前線より使い番! 孤呂奈の軍勢、暴れまわり手が付けられませぬ!」
「うぬ、長槍隊! 守りを固めよ!」
「殿、このままでは領内が焼け野原になりますぞ。援軍の要請を」
「殿! 何卒、何卒!」
「うーむ、援軍要請か。費用はかかるがやむをえん。援軍到着までしばし持ちこたえよ」
「殿……少しお休みくだされ。戦はこれからが正念場でござる」
「……おのれ孤呂奈め待っておれ、目にもの見せてくれるわ」
◇ ◇ ◇
「殿、申し上げます! 援軍が到着いたしました! 孤呂奈の軍勢との合戦が始まりました!」
「そうか。援軍は強いと聞いておるが……鉄砲隊! 援護せよ!」
「殿! 孤呂奈の兵退却を始めました!」
「よし! もうひと押しじゃ油断するでないぞ。一気に殲滅しろ!」
「ご注進、ご注進! 敵は総崩れ、敗走中!」
「うむ、全軍突撃じゃ! 騎馬隊! 追撃しろ! 一兵たりとも逃すなっ、なで斬りにしろ!」
「殿、申し上げます。孤呂奈の軍勢、全滅いたしました。わが軍の勝利にござりまする。援軍は引き上げました」
「よし、皆ようやった。勝鬨をあげよ。しかし……苦しかったのう。もう二度とこのような戦はごめんじゃ」
了
孤呂奈襲来 船越麻央 @funakoshimao
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