第11話 最終試験

暗くて細く、肌寒い道を通る男のあとを、俺たちはついていっている。


「ここ、バカでかい化け物とかどうすんだろうな」


「そういうやつらは人間社会に適応するために小さくなれるやつが多い。だから通れないってことはないだろうな」


「へぇ、便利だな」


「それができない程度の大型の化け物を省くって目的もあるんだろうけど」


酒呑童子は、俺と同じくらいの背になった状態で言っている。二メートルの状態だと、とてもではないが通れそうもない道だ。


「そういえば酒呑童子」


「どうかしたか?」


「さっきの暗闇から出るとき、お前わざわざ壊さなくてもいいって気づいてたのか?」


「ああ、よくわかったな」


「やっぱりか」


「何で気づいた」


「いくら何でも剣を抜けっていうのが早すぎる。俺がカウンター得意だって知ってるはずなのに」


「まぁな。コアが攻撃してくるとは思えなかったし、それに…」


「それに?」


「ルート見つけるよりぶち壊した方が楽だし早いからな」


「脳筋すぎんだろ」


「その脳筋な策に乗ったのはどこのどいつなのか」


「それを言うな」


すると、進行方向から光が見えてきた。


「そろそろ到着かな?」


「そうだな」


他の人や化け物もそれに気づいて、緊張感が出てきた。


光の先に行くと…


そこは、薄暗い森の中だった。


「あの光の正体、これなのか?」


この薄暗さから、あれほどの光が出るとは思えない。


「春人。気をつけろ。この森林、鵺やかまいたちとは比にならないくらいの化け物いるぞ」


「やっぱりか」


常日頃から隣に酒呑童子強い化け物がいればその程度はわかる。


「それでは次の試験、最終試験の説明をいたします」


試験官の男もさっきよりも緊張感がある。


「それは、ここの森の中で三時間生き延び、脱出することです」


シンプルかつ、この手の入隊試験の定番だ。どうせ最後これだろうなとうすうす気づいていた。他の人たちもでしょうねと分かり切ってた顔をしている。


「それでは、さっそく試験開始です」


男がそういうと、他の人たちはちりじりになった。


「酒呑童子、俺達も行くぞ」


「ああ」


俺達も薄暗い森の中へ入っていった

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化け物祓い あつかち @atukati0808

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