第2979話 オメガバスティオンの真髄を教えよう。
「さすがに、3歳で白髪は精神的にキツすぎる……」
などと、どうでもいいことを口にしつつ、
「さて……どうするかな……普通に修行したところで、アダムには勝てねぇ……オメガバスティオンはすげぇチート技なんだが、格上相手に防御を固めたところで、ジリ貧になるだけ」
などと、そう思っていると、
『オメガバスティオンでランク500以上の魔法を無効化する――条件達成。【オメガルーム】が解放された』
などという声が脳内に響いた。
「……お、マジか……拡張されたのは久々だな」
ナイトメアソウルゲートは、使用者が『特定の条件』を達成すると『設備が拡張されていく』という特徴を持つ。
最初の1億年の時は、ポンポン拡張されていたが、
以降の数億年では、ほぼ拡張されることはなかった。
センは、さっそく、今回、解放されたオメガルームへと足を運んだ。
施設の入り口には、基本的に、説明書が配置されている。
センは、時間をかけて熟読していく。
「オメガバスティオンの応用技を磨く部屋。指南役のNPCが厳しすぎて死ぬ確率が高いのが難点……ふむ……」
『指南役のNPC』が常駐(じょうちゅう)している訓練施設は珍しくない。
ここの施設に精通しているセンは、オメガルームの特性も、一瞬で理解していく。
理解すると同時、センは、すぐさま、施設の利用を開始する。
「……私が指南役のオメガである。さっそく、貴様に、オメガバスティオンの真髄を教えよう」
そう言うとオメガは、
豪速で空間を駆け抜けて。
握りしめた拳を、
「ぶへぇえええええっっ!!」
センの顔面へと叩き込んだ。
顔の骨が砕けて、歯が飛び散った。
★
――アダムは、優れた戦闘力を有する化け物である。
全てにおいて高いスペックを誇る天才型。
だから、現場の変化にも、すぐに気づいた。
「……空気が変わった……」
自分が放った光球が、完璧に処理されていく。
それだけではなく、
「……ついさっきは白髪になったのに、今度は黒髪に戻ったな。……髪だけではなく、オーラの質も変化している……なるほど……ソウルゲートを使ったのか」
自身も使った経験があるし、
センから話を聞いてもいるので、
現状を理解するのは早かった。
「それで? 多少は強くなれたか?」
プロパティアイでみれば一発だが、
あえて、質問を投げかけていくアダム。
根本的な底意地の悪さがうかがえた。
センは、
「……1億年も積んだんだ……多少は強くなるさ……」
ギラつく目で、アダムを睨み、
「それも、ただの1億年じゃねぇ。ずぅぅぅぅぅっと、殺されかけ続けるという、えげつない1億年だった……何が、『オメガバスティオンの真髄を教える』だ……あの野郎、ひたすら、俺を殺そうとしただけだったじゃねぇか……俺、あいつから、何一つ、教わってねぇ……ほんとに、ただ、1億年間、殺されかけただけだ。なんだ、あのいやがらせ……マジでよぉ……」
ぶつぶつと、オメガルームに対する文句を口にするセン。
「ま、おかげで、『開(ひら)いた』けどな……あれだけの地獄を見れば、どんな無能でも、さすがに開く」
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