第2747話 準備は完璧に整った。
可能性を残さない死刑執行。
蝉原のヌケガラ『アルテマ・ウムル』は、今、この瞬間に、
完全なる死を迎えた。
――ウムルの魂魄の一部は、
粒子状になって、センの中へと注がれていく。
『アルテマ・ウムル』という膨大な経験値。
その全てが、『数真』にストックされる。
(……ゼノリカが俺に注いでくれる信仰と献身がハンパじゃないから、レベル1でも、数値的な問題は、そこまで問題にならねぇ。俺の戦闘力と覚醒技の類を駆使すれば、だいたいはどうにかなる……となれば、レベルは1に保っておいて、GODレベルの上昇率を上げておいた方がいい……)
数真のストックを解放すれば、いつでも、レベルを上げることは可能。
センは未来を計算する。
今、そうとうな地獄を超えて、一息ついたばかりだが、
しかし、すぐさま『未来の地獄』のために、今を積もうとする。
(俺の人生は、いつだって、ナイトメアマストダイ。どうせ、また、すぐに、鬱陶しい敵とご対面するのは確定的に明らか。――その時のために、今できることを全て積んでやる)
などと、心の中で思っていると、
『アルテマ・ウムル』が消失した地点に、
カギが二つ、ポトンと落ちた。
「……クツグアの鍵と、ハスターの鍵……で、俺のもっているクトゥルフの鍵。……これで、三つそろった……これで、時空の門の向こうにいけるな……」
と、理解したところで、
頭の中に声が響いてきた。
それは、とても馴染みのある声。
数万年間の間、ずっと聞いていた声。
――レディパーフェクトリー。準備は完璧に整った。センエース。時空の門の向こうで待っている。本気で相手をしてやるから、さっさと来い――
頭の中に響いたのは、『ヨグ』の声だった。
「そのテンプレ、俺も使ったことあるが……敵に言われたら、恐ろしすぎてチビりそうになるなぁ……」
普通にビビリ散らかしているセンに対し、
『ヨグ』は続けて、たんたんと、恐ろしいことを言う。
――レベル上げの時間は与えない。今日中に、一人で来い。今日中に来なければ、私の影をゼノリカに送る。言うまでもないが、ウムルの影とは次元が違う。『センエース化(極小)』した程度のゼノリカで対処できるなどと決して思うな――
「……『お前の怖さ』は、イヤになるほど、よぉく知っている。あいつらが、お前の影をどうにかできるとは一ミリも思っちゃいねぇ。つぅか、俺だって、お前には言いたいことと、たたきつけたい拳が何発かある。すぐにいって、ブチのめしてやるよ」
――ちなみに言っておくと、ゼノリカを引き連れてきてもかまわないが、時空の門を通れるのは、オメガを倒した者だけだから、貴様以外は門を通れない。さきほど『一人でこい』と命令したが、ハナから、貴様は、一人で私と対峙するしかないのだ――
「なるほど……まあ、お前の場合、それも嘘である可能性はいなめないが……正直、そっちの方がありがたいな。俺とお前の闘いに、あいつらを巻き込むと、いろいろやべぇだろうし。ところで、お前のところには、どうやって行けばいいんだ?」
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