第1507話 センエースの可能性。


(理解できないのは無理もない。オレも、オレの詳細を把握しているわけじゃないからな。理解してないものを他者に伝えるなど不可能。ちなみに、オレを理解しきれていないのは、オレ自身ではなく、未来のお前な。オレ自身には感情も知性もない。100%ないわけじゃないが、今は発現してねぇ)


 仮バグは、偽ることなく、全てを吐露していく。


 仮バグは、自分に可能な全てを駆使して、

 バンプティと、完全な一つになろうとする。


(バンプティ、深く考えるな。詳細の把握は必要ない。『オレたちが何をなすべきか』……それだけ理解していれば、それでいい)


 ――私たちが、すべきこと……?


(さっき言ったろ? 『プライマル・コスモゾーン・レリックを入手すること』だ。ちなみにいっておくが、『ソレ』がどういうものか、オレは知らん。一度も手に入れてないからな。手に入れて、使い込んで、そうやって、はじめて本質が理解できるようになる……アイテムってのはそういうもんだ)


 ――ぬしは……なにがしたい……?


 その純粋な疑問に対し、

 仮バグは、まっすぐに前を向いて、




(命の可能性と、真剣に向き合いたい)




 その真摯な言葉に、

 バンプティは、疑問を見失った。


 仮バグのセリフは、決して、ごまかしの言葉ではなかった。

 ハッキリと分かった。


 これは、真摯な想い。

 本気のメッセージ。


(センエースという概念が『単なる虚勢』ではなく『本物の希望』たりえるのか……オレは……『オレたち』は、それを見極めるために、存在している)


 ハッキリとした宣言。

 その宣言は、

 高次の理解となって、

 バンプティの中に浸透していく。


 もはや疑問は存在しない。

 自分と向き合いながら、

 自分を取り戻していくだけでいい。


 そんな、バンプティの感情の変化を受け止めると、

 仮バグは、前を向いて、


(……これで『前提』は積んだ。あとは、『ナイア・ゲン・フォース』と融合し、プライマル・コスモゾーン・レリックさえ手に入れれば、『バンプティという概念』は『対センエースの器』になれる。その器と、ゴート・ラムド・セノワールの可能性が一つになった時、究極の絶望が完成する。ここに至るまで、長かった。凶悪にメンドくせぇアリア・ギアスだったが……なんとか積み切った。これで、可能性は開いた)


 そう言い切ってから、

 仮バグは、遠くにいるセンエースに意識を向けて、


(……さあ、センエース。テメェは、オレ(究極の絶望)をこえられるか? 言っておくが、ガチで完成したオレは、お前でも引くほど強大だぞ)


 ――こうして、物語は大きく動き始める。

 バタフライエフェクトを飲み込む世界線の収束によって、

 1年後、センエースは、問題なく自爆して、

 原初の世界へと旅立つ。


 裏イベントスイッチS099がONになったことにより、

 『細かいポイント』で『ちょっとした変化』はみられたものの、

 しかし、大きな問題が起こることはなく、


 センエースは順調に、

 神の最果て『究極超神化7』へと届き、

 いと美しき『月光の龍神』となりて、


 ――真・第一アルファへと旅立つ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る