第1506話 銀のカギ。
(データ量が多すぎて、バンプティが、オレを『完全』に取り戻すまで、このままだと、数年はかかる……意識回線にテコ入れは必須。ちゃんと理解しろよ、バンプティ。センエースが『真・第一アルファを攻略し、プライマル・コスモゾーン・レリックを入手するまで』には、確実に取り戻さないといけないんだからな)
そんなことを自分に言い聞かせつつ、
『仮バグ』は、
先ほどの闘いに想いをはせて、
(いやぁ、しかし……『99回』も積んだってのに、さっぱり相手にならなかったな。……これまでの99回は様子見だったから、当然ボコられてきたが……今回だけは全力を出したことだし、ワンチャンあるかと思っていたんだが……やはり、戦闘力不足はいかんともしがたし、って感じか……まあ、別にいいけどな。戦闘力は『プライマル・コスモゾーン・レリック』でカバーする予定なんだし……)
丁寧に、
自分に言い聞かせていく。
と、そこで、
――99回積んだ……とは……いったい……
意識の奥から、
質問が飛んできた。
仮バグは、バンプティからの問いかけに対し、
きわめて丁寧に、
(簡単な話だ。『今日の闘い』から『センエースがプライマル・コスモゾーン・レリックを入手するまで』を、オレたちは、これまでに99回繰り返してきた。『銀のカギ』という、タイムリープアイテムを使い、能力と記憶を今日に飛ばすという方法でな)
その後も、仮バグは『バンプティが何者であるか』を、
丁寧に、丁寧に積んでいく。
(一年後、センエースは、原初の世界に旅立つ。それから、冒険者試験とか色々あって、センエースは、真・第一アルファに飛ぶ。そこでも、また、色々あって、当然のように真・第一アルファを完全攻略したセンエースは、究極のアイテムである『プライマル・コスモゾーン・レリック』を手に入れる。それがフラグとなり、オレたちも、プライマル・コスモゾーン・レリックを入手するチャンスを得る。ここまでは理解できたか?)
『自分自身』に対し、
どこまでも、丁寧に積んでいく仮バグ。
――ぬしは……私なのか……?
(正確には違うな。『オレが何者か』という『哲学的な問い』の『模範解答』は……やっぱり『銀のカギ』になるかな。記憶と能力を過去に飛ばすアイテム……それに包まれているお前のデータ……それが『今のオレ』だ。ああ、理解できないのは無理もない。オレも、オレの詳細を把握しているわけじゃないからな。理解してないものを他者に伝えるなど不可能。ちなみに、オレを理解しきれていないのは、オレ自身ではなく、未来のお前な。オレ自身には感情も知性もない。100%ないわけじゃないが、今は発現してねぇ)
仮バグは、実際の話、
『自分』をまったく理解していない。
『未来のバンプティ』によって施された『プログラミング通り』にしか行動できない、記憶転送アイテムに過ぎない。
仮バグという概念は、あくまでも、
バンプティが遺した意地。
『折れてやるものか』と叫んだ魂魄の慟哭。
その具現。
(この辺の設定は、あまりにも難しすぎる。『創ったヤツ』の頭が、ぶっとびでイカれているから、理解することは、ほぼ不可能正直、なぜここまで複雑にしたのか、正直、1ミリも理解できねぇ。いや、まあ、アリア・ギアスだってことはわかるんだが、感情が理解できないというか……もっとスマートにしてほしかった、とマジで思うぜ)
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