第1505話 99回。
「それでは、そろそろ失礼する。聖誕祭の栄典式がそろそろ始まるのでね。カドヒト捕縛の件については、また今度、話を聞かせてほしい」
去っていくジャミの背中を見送りつつ、
バンプティは、心の中で、
(……『主を信じない自由』……そんなものは必要ない……)
信念を主軸とした暴論を展開していた。
(愚か者ども……自分たちの王すら知らぬマヌケ……あってはならぬ、そんなこと……)
グツグツと、心の奥で、怒りが沸いてきた。
先ほどの『ジャミの反応』は、
『狂信者バンプティ』からすれば、
許しておけない態度。
(自分が根源的に『誰によって支えられて生きている』のか……『その程度の基本的理解』も出来ておらぬ大バカ者……是正せねばならぬ……なんとしても……主の輝きを理解しようとしない者に、生きている価値はない)
バンプティの中で、
『ゆがんだ感情』が膨らんでいく。
神への愛が、
ヤンデレ方向へと開花していく。
――ゆえに、
その『病(や)み系の萌芽』を糧として、
バンプティの中で、
『ヤツ』が力を取り戻す。
「……ぅぐっ」
ビリィっと、全身がしびれた。
弱さを持たない強引な電流。
抵抗する余裕は与えてくれなかった。
「……ぁ……っ――」
ほぼ一瞬で、
バンプティの意識は途切れた。
フラっと倒れそうになる体を、
「――……おっと……」
『仮バグ』は、グっと支えて、
(……よし……同期、スタート……)
心の中で、そう呟きながら、
意識を巡らせて、
(……S099の裏イベントスイッチがONに切り替わっている……どうやら、スールの方の処理は問題なく終わったようだな。センエースがオレの方にくる気配は……ない。『いつもどおり』、バンプティは放置のスタイルでいくようだな)
『自身の光を刻む』という形で『未来』を見せたため、
バンプティに対する後処理はサクっとした記憶介入でも構わない。
最悪、記憶の一部が残っていたとしても、
これまでと大して変わらないし、
なんなら、少しぐらい残っていた方が、
今後の指針になりえるだろう。
だが、反聖典側のスールだけは丁寧に処理をしておきたい。
……それが、センエースの考え方。
センエースがそう考えて行動するということを、
『仮バグ』は『経験』上、『知って』いる。
(何度もおんなじことをやっているんだから、当然、思考形態も行動パターンも全て読める……というか、99回以上、同じことをやっていながら、この程度のことも読めないとなれば、そいつは、真正のアホだ)
まるで『自分に言い聞かせる』ように、
丁寧に、『理解』を積んでいく『仮バグ』。
(データ量が多すぎて、バンプティが、オレを『完全』に取り戻すまで、このままだと、数年はかかる……意識回線にテコ入れは必須。ちゃんと理解しろよ、バンプティ。センエースが『真・第一アルファを攻略し、プライマル・コスモゾーン・レリックを入手するまで』には、確実に取り戻さないといけないんだからな)
自分自身に言い聞かせることで、
意識回線にテコ入れをしていく。
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