第1466話 何度でもまわせ。
(……まったく表現しきれていない……神の輝きは……あの程度の文章で……すませていいものではない……美化どころか……もはや、侮蔑に等しい……足りない……まったく……)
『この想い』を『文章で表現する事』など、
とてもじゃないが、不可能だ――と思った。
と、同時に、広く伝えたいという想いが募った。
そんな中で、
ふと、パメラノの顔が脳裏をかすめた。
(ああ……なるほど……)
すべてが一致した。
(あなたも……このもどかしさの中で……苦しんでおられたのですね……)
スールは、あの時のパメラノの気持ちを100%理解した。
自分の愚かさを知った。
(申し訳ありません、パメラノ猊下……あなたを疑うべきではなかった。……主は確かに……実在した……)
震えるほどの暖かさに包まれているスールの視線の先で、
センエースの輝きが増していく。
とめどなく、
際限なく、
大人気なく、
暴力的に、
――センは言う。
「ちなみに言っておくと、今回の閃世界は、特別に、お前にとっても有利な空間にしておいた。システムの応用で、クールタイムの圧縮効果を付与してやったんだ。お前が加速するのは、俺にとって好都合だからな」
ちなみに、その流れで、
ちゃっかり、桜華閃世界の強度も上げておいた。
常に、万が一に備えて準備をしておくこと。
常に、無駄を嫌悪し、有利に対して貪欲になること。
戦術の基礎。
もっと言えば、
殺し合いの基礎。
「すでに次のルーレットをまわせるはずだ。というわけで、さあ、まわせ。もっと、もっと、強くなれ」
「……」
「はやくしろ。躊躇は許さないと言ったはずだ。さっさと回せ」
「……オレに……命令するんじゃねぇっ……貴様に……言われなくともぉおおおおお!!」
ギリっと奥歯をかみしめて、
「オレをナメた『その代償』は必ず払わせる! その驕(おご)りごと飲み込んでやる!」
バンスールは、
「まわれ……カオスバンプティルーレットっっっ!!」
さらなる力を求める。
正直、心は折れていたが、
しかし、止まるわけにはいかなかった。
強い言葉を喚いて、
自分を保つしかない。
つまりは、極限状態。
どこまで、己の中の弱さと向き合えるかという、
むき出しの時間。
――バンスールは、すぅぅっと、大きく息を吸い、
「……とまれぇええええええ!!」
叫ぶと、
ビタッッと、惰性なく、ルーレットは停止した。
12時の矢印が示した効果は、
――『ウルデバッグ・ギアスの発動』。
とんでもない大当たり。
なのだが、センエースの前では、酷く頼りなく思える。
バンスールは、奥歯をかみしめて、
心に最後のニトロをブチ込みながら、
「この戦いに勝てればそれでいい……それで、オレは終わっていい……だから……『闘神』の強さを、この手に……っっ!!」
『命がけの覚悟』を『闘神の力』に変えるプラチナスペシャル。
――『ウルデバッグ・ギアス』。
すべての力が結集し、
バンスールの『強さ』が、本当のリミットに達した。
ソンキーの戦闘力と、アポロギスの存在値を併せ持つ奇神。
ここに、『対センエース最強の神』が誕生したのだ。
――ソンキーとセンエースとアポロギスは、
相性でいうと、ポケ〇ン御三家のように、
綺麗に、三すくみになっている。
センエースはアポロギスに強く、
アポロギスはソンキーに強く、
ソンキーはセンエースに強い。
実際のところは、もっともっと複雑な関係なのだが、
きわめて単純に相性を表現するとこうなる。
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