第1467話 ここにいる。
ソンキーとセンエースとアポロギスは、
相性でいうと、ポケ〇ン御三家のように、
綺麗に、三すくみになっている。
この前提を踏まえて考えると、
現状のバンスールは、センエースにとって最悪の相手と言えた。
存在値は上回られており、
相性は悪い。
また、『戦闘センス』だけをとってみれば、
ソンキーはセンエースを超えている。
さらに言えば、アポロギスのビルドの中にも、
センエースが『苦手とする領域』は存在する。
リ〇ードンがソーラ〇ビームを覚えるように、
センエースに対して効果抜群をとれる切り札を、
アポロギスも、いくつか有しているのだ。
バンスールは、『センエースにとって最悪』の結晶ともいうべき存在。
結論。
現状の『バンスール』は、センエースにとって、
この世に存在する生命の中で『唯一の天敵』とも呼べる存在に昇華した。
その事実を誤解なく真正面から受け止めて、
咀嚼して、飲み込んだセンは、
だからこそ、強く目を輝かせて、
「おお……見ただけでもわかるよ。すげぇ良い感じに仕上がったな。スキがまったくねぇ。この圧力……この重み……いいねぇ。ほんと、いい感じの戦闘力になったじゃねぇか」
『具体的な戦闘力』を『見ただけ』で測定することは不可能。
だが『感じること』は出来なくもない。
今のバンスールは、とんでもない高みにいる。
センエースの評定を受けたバンスールは、
そこで、キっと、視線に力を込めて、
己の魂魄に、最後の最後の気合をブチ込んでいく。
「これで、終わりではない! オレはもっと先へ行く!! オレの可能性全てで、貴様を殺す! さあ、刮目しろ! 貴様を超える神の誕生を見逃すな! ――開け、『究極完全体モード』!!」
己を完全に解放する一手。
究極超邪神の切り札。
バンスールの全てが沸騰する。
肉体が、魂魄が、命の全てが、
戦闘に特化した武の化身へと変貌していく。
死という概念の限界。
想像しうる絶望の最果て。
狂気の結晶。
黒い輝きが落ち着いた時、
そこには『この上ない最強』が立っていた。
「すべてが……完全に調律された……」
バンスールは、己の両手を見つめながら、
「見てくれ……なぁ……どうだ? オレは、届いているだろう? 命の頂点に」
「ああ、大きいよ。間違いなく」
センはそう言ってから、
「けど、頂点はそこじゃない。本当の頂点は、ここにある」
そう言って、右手の親指で、自分の胸を指さした。
ゆるぎない自信。
絶対の覚悟。
それを前にして、
バンスールは、
「……すごいな……」
心の底から、そうつぶやいた。
「オレがそっちの立場だったら言えない。……今のオレを前にして、これほどの力を目の当たりにして……それでも『自分こそが最強だ』……などと、オレでは、口が裂けても言えない」
今だって、そうだ。
数字の上では、センエースを超えているが、
『自分こそが最強だ』とは言えなかった。
『オレは最強だよな?』
とビクビクしながら聞く事しかできなかった。
そんなみっともないバンスールとは違い、
センエースは、一貫して、堂々と、
「普通のヤツにはできねぇよ。俺だって、ガキの頃には言えなかった。至極、単純な話。――いままで必死になって背負ってきた全てが、俺に不遜(ふそん)を通(とお)させる」
そう言いながら、
センはゆったりと武を構える。
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