第1452話 ソウダネー。


(ラージャンタイプのエグゾギア……そのチョイスはどうだろうなぁ……まあ、もちろん、強くはなるが……正直、エグゾギアを使ったビルドはたかが知れているからなぁ……つぅか、神種が芽吹いていない状態でエグゾギアを使ったところで、メモリ不足&コスト不足で、豪快にもてあますだけだと思うんだが……)


 『強さのリミット』がなければ『それなりの可能性』を秘めたシステムだとは思うのだが、しかし、現状、『強化値』には『限度』があるため、エグゾギアは、さほど優秀なシステムとは言えない。


 それなりに使い勝手はいいものの、

 火力も防御力も展開力も突破力も、

 すべてが、中途半端で、決定打に欠けまくっている。


 決して弱いわけではないのだが、

 ――『エグゾギア』を使うくらいだったら『他の上位システム』の方がいい。

 というのが『神の結論』なのである。


「みろ! カドヒト! これが、神のシステムだぁ!! 常軌を逸した、天上の力ぁ!」


 その叫びは、

 まるで、自分に言い聞かせているようだった。

 『自分はこんなに強いから』

 『だから大丈夫だ』

 と、叫んでいるよう。


 ――ちなみに、バンプティは、神のシステムを『理解』しているわけではない。

 仮バグから『漠然とした知識』を刻まれているだけ。


 だから『不安』をぬぐいきれない。

 だから『心底から自分の力を信じ切ること』ができない。


「神の力を持つ私が、神のシステムに包まれている! となれば自明! 貴様は死ぬしかない! そうだろう!!」


「ソウダネー」


 アクビをはさみながら、

 棒セリフで返すカドヒト。



「あまりの恐怖で言語中枢がイカれたか! それも仕方あるまい! 今の私はあまりにも大きすぎる!! 刮目せよ! 本物の『最強』を見せよう!!」



 自身ですら、実は、まったく信じ切れていない、

 『名状しがたい合理のようなもの』を叫びながら、

 バンプティは、瞬間移動で距離をつめ、



「――『バン拳』っっ!!」



 幼少のころから、必死になって磨き上げてきた必殺技『バン拳』。

 もちろん、閃拳の模倣なのだが、

 独自のアリア・ギアスが込められているバンプティ自身の拳。


 その磨き上げてきた拳で、

 カドヒトを吹っ飛ばそうとしたが、

 しかし、


「いい拳だ。丁寧に積み重ねてきたのがうかがえる。しかし、まだまだコクとキレが足りないな」


 カドヒトは、ヒラリと涼しげに拳を避けると、

 懐にしのびこみ、ほとんど、バンプティの体に触れることもなく、

 サラっと、シレっと、フワっと、

 小川のせせらぎを彷彿とさせる優しさで、

 バンプティの体を、ヌルリと、スっ転がしてみせた。


「――っっ???!!!」


 ほとんど音もなく仰向けに転がされたバンプティ。

 何がなんだかわからないという顔をしている彼を見下ろしながら、

 カドヒトは言う。


「あと、200億年ほど修行すれば、俺相手でも、かすり傷くらいは、つけられるようになるだろうぜ。ぃや、200億じゃムリか……プラス、5000年くらいは積まないと、かすり傷までは厳しいかな」


 カドヒトの言葉が、

 『上』から降り注ぐ。


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